腰椎すべり症とは
背骨を構成する椎骨が、何らかの原因によってズレることを「すべり症」と呼びます。
中でも腰椎がズレるすべり症のことを、「腰椎すべり症」と言います。また腰椎すべり症は、大きく以下の2つに分類されます。
腰椎分離すべり症
腰椎分離症を伴っているすべり症です。分かりやすく言い換えると、腰椎分離症が先にあり、これによって起こるすべり症です。
腰椎変形すべり症
腰椎分離症を伴わないすべり症です。加齢によって椎間板が変性し、椎骨のズレが生じます。なお腰椎変性すべり症は、脊柱管狭窄症を伴うことが多くなります。
腰椎すべり症の原因
腰椎分離すべり症と腰椎変形すべり症では、それぞれ原因が異なります。
腰椎分離すべり症の場合
サッカーや野球、バスケットボールなどにおける身体を反らす動作、ジャンプして着地する動作、腰をひねる動作を繰り返すことで椎弓が分離した状態を「腰椎分離症」と呼びます。
椎弓が分離したままでいることで、椎骨がズレやすくなるのです。
腰椎変形すべり症の場合
こちらは、主に加齢を原稿とする椎間板の変性によって起こります。椎間板は、加齢とともに弾力性が失われ、摩耗していきます。
椎間板が薄くなることで、椎骨がズレやすくなります。
腰椎すべり症の症状
神経が強く圧迫されている場合には、間欠跛行、下肢のしびれなどの症状も見られるようになります。
腰椎すべり症の方が
負担なく寝る方法
腰椎すべり症の症状が強くなるのは、腰に負担がかかったときです。
寝るときにも腰に負担をかけないようにするためには、以下の方法が有効です。
- 横向きで、少し身体を丸めて寝る
- 仰向け、うつ伏せを避ける
- 仰向けで寝たいときには、膝の下にクッションを入れる
腰椎すべり症の
検査・治療法
検査・診断
問診の上、下肢の感覚異常の有無や筋力低下のチェック、SLRテスト(下肢伸展挙上試験)、FNSテスト(大腿神経伸展試験)、レントゲン検査、MRI検査などを行い、診断します。
レントゲン検査では腰椎のズレが、MRI検査では神経の圧迫の程度が分かります。
治療法
保存療法
コルセットやベルトによる装具療法、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬による薬物療法、牽引、温熱療法、あるいはブロック注射などを行います。
手術
保存療法で十分な効果が得られない場合、生まれつきの形成不全を原因とする場合には、手術を行います。
腰椎すべり症を
再発・予防しましょう
治療によって骨融合した(骨がくっついた)場合には、股関節・胸のストレッチなどの運動を行うことが、腰椎分離症の再発予防となります。
また、無理のないトレーニングで腹筋と背筋を鍛えることも、腰椎の負担軽減につながります。
骨癒合が得られなかった場合にも、医師・理学療法士の指導を受けながら、ストレッチやトレーニングを行っていけば、日常生活だけでなく、スポーツへの復帰も可能です。