がん温熱療法とは
がん温熱療法とは、がん細胞を加熱することで死滅させるという治療方法で、臨床応用歴30年以上を有する医学的近経に基づいた治療法。がん細胞が正常な組織細胞と比べて熱に弱いという特性を持つことに着目して開発されました。
通常は化学療法や放射線治療とも併用することができるので、それぞれの治療の効果を高めたり、免疫力をあげることが期待できます。また患部が温まることで血流が改善することで痛みが軽減したり、筋肉のこわばりを取ってくれたりする効果も見込めます。
使用する機器には、身体の一部を温めるためマイクロウェーブ波やRF波などの電磁波が用いられます。基本的にはがんの三大治療と言われる「抗がん剤治療」「放射線治療」「手術治療」と併用することで、がん治療の効果を高めたり、主要な治療方法だとがん細胞に効果が届きづらい箇所などに対応しています。
がん温熱治療の歴史
がん細胞が熱に弱いということは古くから知られていました。実際、紀元前5世紀ごろ科学に基づく医学の基礎を作ったことで「医学の祖」と称されるギリシャのヒポクラテスは、「熱によってがんが消滅した「という報告をしています。また1866年にはドイツのブッシュは、「皮膚に光沢を帯びて隆起した痛みを伴う赤い斑ができて熱を帯びる「丹毒(たんどく)」という症状が出た際に、高熱を出した患者のがん細胞が消滅したと伝えました。さらに1900年代にはアメリカの外科医であるウィリアム・コービーが、感染すると高熱を出すレンサ球菌などを注射し、わざと発熱させることでがん細胞を縮小することに成功しました。
1960年代になって科学技術が進歩すると、有効な加温の方法が開発されるとともに、がん細胞に対する温熱治療の効果が基礎研究によって明らかになり始めました。
温熱治療で得られる効果
温熱治療を行うことで得られる効果について5つの項目にまとめました。
①がん細胞(悪性腫瘍)の壊死
がん細胞は42.5℃以上で死滅します。またがん細胞は正常細胞よりも高温になりやすく冷めにくいという特性を持っているのも、温熱治療の効果がより見込めるとされています。
②血行不良の改善
温めることで通常細胞は血流が増加し、血行が改善されます。血行が改善されることで免疫力を高める効果も期待できます。
③痛みの軽減(閾値の上昇)
患部を温めることで、血流を改善し、血液量が少ないことによる慢性的な痛みを緩和させます。また皮膚温度の上昇は、神経の伝導・伝達を変化させ、痛覚を軽減する効果を見込めます。
④筋肉の硬直化改善
加温には筋肉や脂肪、血管、リンパ管、神経といった軟部組織の伸展性を高める効果があります。さらにストレッチ前に軟部組織を加温すると柔らかくなった効果が長く続くので、組織断裂の危険性が減少します。
⑤三大標準治療との併用で効果増大
がんの三大標準治療と言われている「抗がん剤治療」「放射線治療」「手術」との併用で、それぞれの治療効果を高めたり補ったりします。巨大ながん細胞や、放射線感受性の低いがん細胞に対して、抗がん剤や放射線治療と併用すると抗腫瘍効果が増強されるとされています。また手術療法中に温熱療法を行うと、身体の奥深くにある腫瘍細胞の死滅を期待することができます。
電磁波照射による温熱療法の原理
患部を温めるために電磁波を使って加温します。電磁波による加熱は、電磁波エネルギーが水分子などの分子運動を増幅させ、振動した摩擦によって熱が発生します。他の治療機器では届かない患部の深部まで部分的かつ集中的に温めることができるのも特徴です。
がん細胞だけ加熱される理由
加熱する際に、正常細胞には影響なく、がん細胞のみが加熱されるのには理由があります。高周波エネルギーを照射すると、細胞の電子が振動して、分子の摩擦熱で正常細胞、がん細胞ともに発熱します。このとき正常細胞は温まったことで血管が拡張され、血流が増えるのですぐに通常の温度まで冷やされます。しかし、がん細胞を通るがん新生血管はほとんど血管の拡張がなく、血流も少ないので蓄熱しやすい性質を持っています。またがん細胞自体が水分が多いということもあり高温になりやすく冷めにくいのです。
結果的に、温度の上がったがん細胞のみ死滅。このほか通常細胞は血流の増加によって血行が改善するので、免疫力を高める効果も期待できます。
当院のがん温熱治療「マイクロウェーブ治療法」
当院ではマイクロウェーブ治療法で加温しています。マイクロウェーブ治療法とは周波数2.45GHz、出力300w〜700wのマイクロウェーブ照射機2台を使用した温熱療法です。他の温熱療法との違いは、使用周波数が異なり、より短時間で温熱効果が得られることにあります。
【導入機材】CC-800
当院では「CC-800」という機器を使ってがん温熱治療を行っています。
CC-800の特徴
がん細胞が死滅する43度で照射するようにコントロールされており、正常細胞を傷つけないため、高温で短時間かつ安全に温熱治療の効果を得ることができます。
モデル | CC-800 |
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品名 | マイクロウェーブ温熱器 |
本体サイズ | 260×230×230㎜ |
電圧 | 100V 50-60Hz |
周波数 | 2.45Ghz |
がん温熱治療のメリットとデメリット
メリット
- がんの種類に関係なく効果が得られる
- 放射線や抗がん剤に抵抗性のがんにも効果を発揮する
- 身体への負担が少ない
- 疲労回復、血行の改善、筋肉のこりのほぐし、神経痛・筋肉痛の緩解、胃腸の働き改善などの効果がある
デメリット・リスク
- 皮膚の火傷や損傷を引き起こす可能性がある
- 急性の炎症がある場合、症状を悪化させる可能性がある
- 効果が一時的であり、持続時間が限られているため、定期的な施術が必要
- 加温中は皮膚表面にピリピリとした痛みを感じることがあります
がん治療の流れ
当院でがん温熱療法を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。
来院前に用意していただくもの
- 紹介状(他院からのご紹介の場合)
- 他院でのCT等の画像データ
- お薬手帳
①カウンセリング
まずはじめに症状についてカウンセリングを行います。その際にCTなどのデータも確認します。また生活状況などもお伺いし、仕事や日常生活に℃の治療が影響が少ないのかなども一緒に考えていきます。
②治療計画
ヒアリング内容を元に、治療計画を行います。
③治療の実施
どのような治療を行うか説明したのち、それぞれの治療を実施していきます。
料金について
各治療を1回受けた場合の料金のご案内です。具体的な料金は各治療についての詳細ページをご確認ください。
項目 | 料金 |
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カウンセリング・セカンドオピニオン | 22,000円 |
がん遺伝子治療(通常治療1クール治療6投与) | 330,000円 |
腹腔内化学療法(パクリタキセル1回投与) | 330,000円 |
6種複合免疫療法(1回投与) | 330,000円 |
がん温熱療法(オンコサーミア1回照射) | 33,000円 |
※いずれも自費治療です
※いずれも税込みです