腰椎圧迫骨折とは
背骨を構成する「椎骨」のうち、前方部分を「椎体」と呼びます。(後方部分は「椎弓」です。)
腰椎圧迫骨折とは、腰部の椎体が、潰れるように骨折した状態を指します。尻もちをついた拍子に骨折することが多く、高齢の女性によく見られます。
高齢者や女性の多い?
腰椎圧迫骨折の原因
若い方の場合、高所から転落したり、硬いものと激しくぶつかったときなどに骨折します。
一方でご高齢の方は、尻もちをついたとき、あるいは重いものを持ち上げたときなど、思いもよらぬことで腰椎圧迫骨折に至ることがあります。エストロゲンの量が低下して骨がもろくなりやすい高齢の女性は、特に注意が必要です。
男女とも、骨粗しょう症の予防が、圧迫骨折の予防につながると言えます。
腰椎圧迫骨折の症状
腰椎圧迫骨折は、以下のような症状を伴います。
ズキズキうずく痛み(疼痛)
受傷時から、安静時にもズキズキとした強い痛みに見舞われます。立つ、寝がえりをうつ、起き上がるといったちょっとした動作によって痛みは強くなります。
物理的衝撃があるときに
発生する痛み(叩打痛)
骨折した部位を叩いたとき、刺激したときに痛みが発生したり、強くなったりします。
姿勢が曲がる(後弯変形)
多発的に骨折が起こった場合には、背中が丸くなっていきます。身長も低くなります。
しびれや筋力低下(神経症状)
骨の潰れ方次第では、神経を圧迫し、神経症状をきたします。
腰椎圧迫骨折しないための
予防法
腰椎圧迫骨折の最大のリスクとなるのが、骨粗しょう症です。骨粗しょう症を予防することは、腰椎圧迫骨折を含め、骨折全般の予防、および寝たきりの予防につながります。
食事やサプリメントで、骨をつくるカルシウムを意識的に摂取しましょう。また、カルシウムの吸収を促進するビタミンDも大切です。ビタミンDは、食事からの摂取だけでなく、日光を浴びることで体内で作ることもできます。
その上で、転んだり、重いものを持つことを避けることが大切です。転倒の予防には、主に下肢の筋力トレーニング、ストレッチなどが有効です。筋力トレーニングといっても、大きな負荷をかける必要はありません。散歩を日課にする、軽いジョギングや水泳をするといったことで、筋力を維持することに努めましょう。
骨粗しょう症の疑いがある方は、医療機関で検査を受け、必要に応じて治療を行うことが大切になります。
腰椎圧迫骨折の
検査・治療法
検査・診断
問診や触診の上、レントゲン検査、MRI検査などを行い、診断します。
必要に応じて、骨粗しょう症の検査も追加します。
治療法
保存療法
腰痛がひどい場合には、できるだけ安静にし、湿布や内服薬を使った薬物療法を行います。必要に応じて、腰の動きおよび痛みを抑えるためにコルセットを用いた装具療法を取り入れます。
また、骨粗しょう症の診断を受けた場合には、その治療を行います。薬物療法、生活習慣指導が中心となります。
手術
保存療法では十分な効果が得られない場合、脊椎の変形や腫瘍が原因となっている場合には、手術が行われます。
背中側からバルーンを挿入して椎体を持ち上げる「バルーン椎体形成術」、多発性の骨折に対してボルトで固定する「後方進入椎体固定術」といった方法があります。
椎圧迫骨折後に
気を付ける姿勢
背中を丸めた姿勢、腰をひねる動作は、病態を悪化させる要因となります。
日常生活においては、以下のような姿勢・動作は避けるようにしてください。
- 靴の履くときの前かがみの姿勢
- 洗髪時の下を向く姿勢
- 脚を伸ばしたまま物を拾う動作
- ベッドから勢いよく身体を起こす動作
- 首だけ、あるいは上半身だけで後ろを見る動作
背筋を自然に伸ばした姿勢で、重心が高くなるような姿勢・動きを避けるようにします。靴を履くときには、足を身体に引きつけることで、前かがみの姿勢を避けることができます。
長めの靴ベラを使うのも有効です。