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2025.04.22

脳卒中の後遺症を“治す医療”はある?専門医がすすめる再生医療

脳卒中を経験された方、あるいはご家族が脳卒中の後遺症に悩まれている方へ──。「右半身がずっと麻痺したまま…」「言葉がうまく出てこない」「食事や排泄すら介助が必要」こうした症状に対して、「もうこれ以上の回復は難しい」と言われたことはありませんか? かつては治らないとされていた脳卒中の後遺症ですが、医学の進歩により再生医療の研究が進み、回復を目指す医療が現実となってきています。ここでは当院で扱っている幹細胞治療についてご紹介します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。日本脳神経外科学会認定 日本脳神経外科専門医として、現在は多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.脳卒中とは?血管のトラブルが引き起こす脳のダメージ

「脳卒中」とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳細胞が損傷し、命に関わる症状を引き起こす病気です。主に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つ。いずれも脳への血流が遮断されることで、酸素と栄養が脳細胞に届かなくなり、患部周辺が壊死してしまいます。一命を取り留めたとしても、患部周辺の脳細胞や神経細胞の自己回復は難しいので、壊死した箇所が担っていた機能は停止したまま。そのため、脳卒中から回復しても、手足の麻痺や言語障害、感情のコントロール困難などの後遺症と一生付き合っていく必要があります。

病名 詳細
脳梗塞 血管が詰まることで起こります。脳卒中患者のうち、全体の約7割が脳梗塞です。
脳出血 高血圧などで血管が破れ出血し、周辺の脳細胞がダメージを追ってしまいます。回復したとしても、多くが脳細胞の損傷による後遺症に悩まされています。
くも膜下出血 脳動脈瘤の破裂などによる出血が原因となって起こる病気です。患部周辺は脳細胞も損傷してしまうため、多くの患者が後遺症に苦しめられます。

┃2.従来の治療では「現状維持」が限界

脳卒中が起きてすぐの急性期には、血栓を溶かす薬を処置して血管のつまりを治したり、出血を止めるために外科手術を行う場合もあります。いずれの症状も、発症から対応が早ければ早いほど、脳細胞のダメージは少なく済むので、後遺症が残ったとしても、軽度のものになります。しかし、多くの患者が、このゴールデンタイムを逃してしまい、脳卒中回復後も重い後遺症に悩まされることとなります。

<主な後遺症>

  • 片側の手足の麻痺・しびれ
  • 言葉がうまく話せない
  • 飲み込みが困難になる
  • 記憶や判断力の低下
  • 感情の起伏やうつ症状

脳卒中回復後のリハビリ期では、失われた機能をカバーするための訓練を中心に治療を進めます。例えば、手足に麻痺が残っている場合には、麻痺が出ている周辺の筋力を強化し、できるだけ正常な動きができるようにするためのトレーニングを行います。

ただし残念ながら、壊死した脳細胞そのものは再生することが難しいとされており、根本的な治療は行うことができずにいました。

┃3.後遺症に「再生医療」という新しい選択肢

再生医療は、人間の本来持つ自己修復能力を活用して組織や臓器を回復させる医療です。様々な方法がありますが、当院が取り組んでいるのは「幹細胞治療」と呼ばれる方法です。幹細胞は、身体のどの細胞にも分化できる能力を持ち、神経や血管、筋肉など、これまで再生が難しいとされてきた組織も再生を促す効果が期待されています。

<幹細胞治療とは>

幹細胞は身体の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなる未分化の細胞です。体の修復能力を持つので、これまで難しかったとされる症状も治すことができると注目を集めています。

幹細胞は分裂して同じ細胞を作る能力を持った「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられます。組織幹細胞の中でも間葉系幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などの組織に存在する体性幹細胞の一種で、さまざまな細胞へ分化することができます。再生が困難とされていた神経や血管、免疫系にも作用すると言われており、損傷した脳神経の回復促進にも作用することがわかってきました。

当院の幹細胞治療では、患者自身の体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養。それを静脈投与、脊髄腔内投与で患部に注入し、神経細胞の修復を試みます。

>>幹細胞治療について

┃4.「専門医×技術力」で実現する根本治療

表参道総合医療クリニックでは、再生医療と脳神経外科の融合を強みとした医院です。日本脳神経外科学会認定 日本脳神経外科専門医の資格を持つ医師が以下のような体制で、脳卒中後の後遺症改善をサポートしています。

<特長①脳神経外科医による的確な診断と戦略設計>

院長の田中聡は、日本脳神経外科学会認定の日本脳神経外科専門医を取得した医師です。MRIや脳波、神経所見を元に、患者ごとに適切な投与部位やタイミングを設計します。

<特長②こだわった幹細胞の質と投与方法>

当院では自己脂肪由来の間葉系幹細胞(ASC)は患者自身から採取したものから幹細胞を培養します。そのため副作用をより少なく留めることができます。また投与する際も、患部にできるだけ直接届けるために、点滴や局所投与だけでなく、髄腔内に直接投与する方法などにも対応しています。

<特長③厚労省認可の再生医療等提供機関>

当院は「第二種再生医療等技術」に基づき、幹細胞治療を正式に届け出済みの医療機関です。安全管理も徹底しています。

>>再生医療を提供する病院選びのポイント

┃5.当院の幹細胞治療の流れ

<①カウンセリング>

事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。

<③脂肪採取・血液採取>

腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院などは不要な場合がほとんどです。

<④幹細胞の培養・PRPの抽出>

幹細胞を使った治療の場合、脂肪細胞から幹細胞を分離、培養します。培養には約3週間を要します。PRP療法の場合、採血を行い、その後遠心分離機にかけて、PRP(多血小板結晶)を抽出します。

<⑤幹細胞・PRPの神経根局所投与、髄腔内投与>

培養した幹細胞や、抽出したPRPを脊髄の枝である神経根に局所投与もしくは髄腔内に投与します。

<⑥経過観察>

治療後の効果について定期的に経過観察を行います。治療効果を確認しながら、リハビリを併用します。

┃6.治療費について

項目 価格
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
PRP神経修復治療 1か所55万円
幹細胞培養上清神経修復治療 1か所44万円
幹細胞培養上清髄腔内投与 1回 55万円
脂肪由来幹細胞点滴投与 1回165万円
脂肪由来幹細胞髄腔内投与 1回198万円

┃7.再生医療のメリットとデメリット

幹細胞治療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者自身の細胞を使っているので安全性が高く、副作用が少ないです
  • 今までは対応が難しかった症例も根本的に治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療をすることができます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果が現れるまでに個人差があります

┃8.まとめ

再生医療は、魔法のような治療ではありません。しかし、「これ以上は回復が望めない」と言われた脳卒中後遺症患者の方々にとっては、回復の可能性がある治療方法かもしれません。もしも気になった方はお気軽にお問い合わせ、ご相談ください。

再生医療とは

脳出血

脳梗塞

くも膜下出血

【参考資料・論文】

『脳梗塞後遺症の機能回復を目指した骨髄間葉系幹細胞治療』

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