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2025.04.20

脳卒中に再生医療は使える?保険適用の現状と自由診療の治療法を医師が解説!

「脳卒中の後遺症に悩んでいるけれど、治療法はもう限られているのでは?」 「再生医療が良いって聞いたけど、本当に効果があるの?保険が効くの?」このような疑問や不安をお持ちの方は少なくありません。今回は、脳卒中後の後遺症を抱える方に、幹細胞を用いた再生医療の概要とその保険適用の現状、費用感や受けられる病院の選び方まで、専門医の視点からわかりやすく解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.脳卒中の後遺症は「今も続く病気」

脳卒中は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、破れて出血する「脳出血」「くも膜下出血」などで脳細胞が損傷してしまう病気です。発症時の治療に成功したとしても、一度壊れた脳の神経細胞は自然と戻ることはありません。そのため、脳卒中発症後約6か月ほど経過した慢性期以降の患者さんの多くが、その後は「後遺症」に悩まされ続けています。

<脳卒中後によく見られる後遺症>

症状 詳細
半身麻痺 片側の手足が動かない
失語症 言葉が出づらい/話すことができない
嚥下障害 飲み込むことが難しくなる/胸や喉がつかえているような感覚を覚える
認知機能障害 記憶力・集中力・認知能力の低下
うつ状態 気力の低下/感情コントロールの困難

慢性期以降はリハビリに取り組みますが、主には「現状維持」「残された機能の活用」を目的に行われます。

┃2.後遺症の治療の可能性を見出す再生医療

再生医療とは、壊れた組織や臓器を再生させることで、機能を取り戻す医療です。その代表的な技術が「幹細胞治療」。幹細胞は様々な細胞に分化し、体内の損傷部位を修復する性質があります。

<幹細胞治療とは>

幹細胞は身体の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなる未分化の細胞です。体の修復能力を持つので、これまで難しかったとされる症状も治すことができると注目を集めています。

幹細胞は分裂して同じ細胞を作る能力を持った「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられます。組織幹細胞の中でも間葉系幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などの組織に存在する体性幹細胞の一種で、さまざまな細胞へ分化することができます。再生が困難とされていた神経や血管、免疫系にも作用すると言われており、損傷した脳神経の回復促進にも作用することがわかってきました。

当院の幹細胞治療では、患者自身の体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養。それを静脈投与、脊髄腔内投与で患部に注入し、神経細胞の修復を試みます。

【脳卒中での幹細胞治療の作用】

  • 壊れた神経細胞の修復促進
  • 炎症を抑制し、神経細胞を保護する
  • 血管の新生(血流改善)
  • 神経回路の再構築(シナプス連携の再活性)

>>幹細胞治療について

┃3.脳卒中への再生医療は保険適用?

結論、

  • 2025年4月現在、脳卒中に対する再生医療(幹細胞治療)は保険適用されていません。

つまり、自由診療となります。

<保険が効かない理由>

再生医療はまだ比較的新しい治療分野であり、治療法ごとに臨床データの蓄積と厚生労働省の承認が必要です。脊髄損傷や難治性GVHDなどでは再生医療製品が一部保険適用となっていますが、脳卒中に関しては現段階で薬事承認・保険収載には至っていません。

<再生医療を受けるクリニック選び>

再生医療を使った治療を望む場合は、厚生労働省の認可を受けた診察所をお勧めします。

なぜならば、厚生労働省に届け出をした再生医療等提供機関では、一定の安全管理のもと治療を受けることができるからです。表参道総合医療クリニックは、厚労省届出済・第二種再生医療等提供計画の認可を受けた医療機関です。画像診断・神経評価・臨床データに基づき治療適応を判断し、幹細胞治療を実施します。

┃4.当院の幹細胞治療の流れ

当院では、患者様自身の脂肪組織から幹細胞を取り出し、培養したうえで投与する治療を行っています。幹細胞治療を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。

<①カウンセリング>

事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。

<③脂肪採取・血液採取>

腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院などは不要な場合がほとんどです。

<④幹細胞の培養・PRPの抽出>

幹細胞を使った治療の場合、脂肪細胞から幹細胞を分離、培養します。培養には約3週間を要します。PRP療法の場合、採血を行い、その後遠心分離機にかけて、PRP(多血小板結晶)を抽出します。

<⑤幹細胞・PRPの神経根局所投与、髄腔内投与>

培養した幹細胞や、抽出したPRPを脊髄の枝である神経根に局所投与もしくは髄腔内に投与します。

<⑥経過観察>

治療後の効果について定期的に経過観察を行います。治療効果を確認しながら、リハビリを併用します。

┃5.治療費について

項目 価格
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
PRP神経修復治療 1か所55万円
幹細胞培養上清神経修復治療 1か所44万円
幹細胞培養上清髄腔内投与 1回 55万円
脂肪由来幹細胞点滴投与 1回165万円
脂肪由来幹細胞髄腔内投与 1回198万円

┃6.再生医療のメリットとデメリット

幹細胞治療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者自身の細胞を使っているので安全性が高く、副作用が少ないです
  • 今までは対応が難しかった症例も根本的に治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療をすることができます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果が現れるまでに個人差があります

┃7.まとめ

脳卒中の後遺症は、諦めなければ“改善の余地”があります。 再生医療は、そんな希望を実現するためのもうひとつの選択肢です。「まだ回復できる」を信じるすべての方へ--。「再生医療って受けられるの?」「保険は使えるの?」「本当に効くの?」そんな疑問をお持ちの方こそ、一度クリニックにご相談ください。

再生医療とは

脳出血

脳梗塞

くも膜下出血

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