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2025.04.11

脳梗塞の後遺症に効く再生医療とは?脳機能回復を見込める「幹細胞治療」を解説

脳梗塞とは、脳卒中の1つで、脳の血管が詰まってしまう病気。その結果、詰まった血管の周りの脳細胞が壊死してしまい、一命を取り留めたとしても後遺症が残ってしまうことでも知られています。今回は脳梗塞の後遺症についてと、それに効果があるとされる幹細胞を使った再生医療についてご紹介します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.脳梗塞はどんな病気?

脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまうことで、周囲の脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、脳の細胞が死んでしまう病気です。多くは動脈硬化や心房細動などが原因で起こり、日本人の死因の上位を占めています。前兆なく、突然起こることがほとんどで、半身の痺れ、言葉が出てこない、ろれつが回らないなどの症状が現れます。

>>動脈硬化について

【脳梗塞の主な原因】

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 喫煙や過度の飲酒
  • 肥満
  • 心房細動などの不整脈
  • 心臓弁膜症などの心疾患

脳細胞は脳梗塞発症後、数分から数時間で壊死するので、発症直後は救急処置が最も重要とされています。しかし、命が助かったとしても、壊死した脳細胞は再生しないため、手足の麻痺や言語障害、記憶障害などの後遺症が残ってしまうケースも少なくありません。

┃2.脳梗塞による後遺症はなぜ起きる?

脳梗塞が起こると、詰まった血管の周辺にある脳の神経細胞はダメージを受けて、壊死してしまいます。脳の神経細胞は「中枢神経」といって全身からの情報を受け、各部位に指令を出す組織。中枢神経は、自然に再生することは難しいとされています。そのため、ダメージを負った箇所が担っていた組織機能は停止してしまい、結果、後遺症として体に現れます。

<主な後遺症>

症状 詳細
半身麻痺 手足の痺れや、動かしづらさを覚えます
吃音障害/失語症 話す、聞く、読む、書くことが困難になります
嚥下障害 飲み込む力が低下し、のどや胸につかえている感覚を覚えることがあります
感覚障害 触覚や痛覚が鈍くなったり過敏になったりする場合があります。発症して半年後ごろからしびれが強くなる場合もあります
認知機能障害 記憶力、集中力、認知機能が低下します
うつ状態 抑うつ気分になったり、意欲が低下します

┃3.リハビリや薬だけでは治療に限界も

現在の標準治療は、脳梗塞の再発予防のため、血液を固まりにくくして、血栓を予防する薬「抗血栓薬」を服用しながら、体の機能を筋力などで補うためのリハビリを中心に計画します。ただし、これらはあくまで「今ある機能の維持や補完」を目的としたもので、死んだ脳細胞を回復させるための根本的な治療ではありません。

そのため、これまでは

  • 壊れてしまった神経細胞を元通りにする治療法は存在しないとされてきました。

しかし近年、再生医療の進歩によって「神経細胞そのものを修復する可能性」が見えてきています。

┃4.再生医療・幹細胞治療の仕組みとは?

再生医療とは、本来自分の体に備わっている「再生力」を活用して、壊れた組織の修復を目指す治療法です。

<幹細胞治療とは>

幹細胞は身体の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなる未分化の細胞です。体の修復能力を持つので、これまで難しかったとされる症状も治すことができると注目を集めています。

幹細胞は分裂して同じ細胞を作る能力を持った「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられます。組織幹細胞の中でも間葉系幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などの組織に存在する体性幹細胞の一種で、さまざまな細胞へ分化することができます。再生が困難とされていた神経や血管、免疫系にも作用すると言われており、損傷した脳神経の回復促進にも作用することがわかってきました。

当院の幹細胞治療では、患者自身の体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養。それを静脈投与、脊髄腔内投与で患部に注入し、神経細胞の修復を試みます。

>>幹細胞治療について

┃5.表参道総合医療クリニックの幹細胞治療の流れ

当院では、患者様自身の脂肪組織から幹細胞を取り出し、培養したうえで投与する治療を行っています。幹細胞治療を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。

<①カウンセリング>

事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。

<③脂肪採取・血液採取>

腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院などは不要な場合がほとんどです。

<④幹細胞の培養・PRPの抽出>

幹細胞を使った治療の場合、脂肪細胞から幹細胞を分離、培養します。培養には約3週間を要します。PRP療法の場合、採血を行い、その後遠心分離機にかけて、PRP(多血小板結晶)を抽出します。

<⑤幹細胞・PRPの神経根局所投与、髄腔内投与>

培養した幹細胞や、抽出したPRPを脊髄の枝である神経根に局所投与もしくは髄腔内に投与します。

<⑥経過観察>

治療後の効果について定期的に経過観察を行います。治療効果を確認しながら、リハビリを併用します。

┃6.表参道総合医療クリニックの治療の特徴

<特徴①:髄腔内投与にも対応>>

脳脊髄液に直接近づけることで、幹細胞がより効率よく作用する可能性があるとされています。

<特徴②:先端リハビリと併用>

細胞治療に加え、機能回復を促す物理療法を組み合わせることで、さらなる効果を期待できます。

┃7.治療費について

再生医療は保険適用外の自由診療となります。費用の一例は以下の通りです(すべて税込)。

項目 価格
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
PRP神経修復治療 1か所55万円
幹細胞培養上清神経修復治療 1か所44万円
幹細胞培養上清髄腔内投与 1回 55万円
脂肪由来幹細胞点滴投与 1回165万円
脂肪由来幹細胞髄腔内投与 1回198万円

┃8.再生医療のメリットとデメリット

幹細胞治療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者自身の細胞を使っているので安全性が高く、副作用が少ないです
  • 今までは対応が難しかった症例も根本的に治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療をすることができます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果が現れるまでに個人差があります

┃9.まとめ

幹細胞を使った再生医療は、回復力を引き出して、脳の神経細胞を回復させるという新しい選択肢です。当院では、患者様一人ひとりに合わせた投与方法とリハビリの併用で、最大限の回復を目指します。脳梗塞の後遺症に「もうこれ以上良くならないかも」と悩んでいる方は、まずは一度お気軽にご相談ください。

脳梗塞

再生医療とは

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