院長ブログ

2025.04.01

腰の痛みは「すべり症」が原因かも? 原因・症状・治療法を解説

腰の痛みが続いていませんか? もしかすると、それは「すべり症」が原因かもしれません。今回は「すべり症」がどのような病気なのか原因から症状、治療方法まで詳しく解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1. すべり症とは?

すべり症とは、背骨(脊椎)の一部が正常な位置から前方または後方にずれてしまう疾患です。特に腰の部分の背骨である「腰椎」で発生することが多く、神経を圧迫することで腰痛や下肢のしびれを引き起こします。高齢者だけでなく、スポーツをする若年層にも見られる病気です。

すべり症の中でも、椎体が前方に滑る「前方すべり症」と、後方に滑る「後方すべり症」に分けられます。すべり症の患者のほとんどの割合で前方すべり症が見られます。

>>すべり症か、セルフチェックしてみよう!

┃2. すべり症の原因

すべり症の原因は主に2つあります。一つ目が「分離すべり症」、二つ目が「変性すべり症」です。また、まれに「形成不全性すべり症」という先天的な骨の形状が関係している場合もあります。

<分離すべり症>

椎弓狭部という部分が疲労骨折してしまい、それが治らないまま分離した状態になってしまう「腰椎分離症」が原因で発生する症状です。

【原因①:スポーツや労働による負荷】

特に体を反らせたり捻ったりする動作が多いスポーツで発症しやすいとされています。体操、柔道、バレーボール、バスケットボール、サッカー、ラグビー、ウエイトリフティングなどが例に挙げられます。

【原因②:腰椎分離症の進行】

「腰椎分離症」とは、背骨の後ろ側の部分にある椎弓が、過度な負荷のかかる旋回運動などを継続的に行うことで疲労骨折してしまい、それが治らないまま分離した状態になっている状態。腰椎分離症が起きた箇所が離れていることで、椎体が前方に滑りやすくなってしまい、椎骨にもずれが生じてしまいます。

<変性すべり症>

椎間板や靭帯が老化し、脊椎を安定させる力が弱まると、変性してしまいます。そのことで椎骨にずれが生じて腰痛を引き起こします。

【原因:加齢によるもの】

変性すべり症は中高年に多く見られる症状です。加齢などで、どうしても椎骨を支える椎間板が弱くなってしまったり、靭帯がゆるくなってしまったりします。ゆるむとその分、椎骨がずれてしまいます。

<形成不全性すべり症>

形成不全性すべり症は、生まれたときから背骨の発育や構造に問題がある場合に起こる先天性のすべり症。非常にまれなケースでもあります。

【原因:先天的な骨の形成】

形成不全性すべり症は、ほとんどの場合で第5腰椎に大きなすべりが起こります。成長とともにすべりの度合いがひどくなり、思春期に一気に悪化してしまう場合がほとんどです。

┃3. すべり症の症状

すべり症が進行すると、日常生活に支障をきたす症状が現れることがあります。特に、腰痛や下肢のしびれが特徴的で、長時間の歩行や立ち仕事が難しくなることもあります。これらの症状が悪化すると、生活の質が大きく低下する可能性があります。症状が気になる方は、早めの検査を受けることをおすすめします。

<すべり症の主な症状>

  • 【腰痛】慢性的な痛みが続くことが多く、特に動作時に悪化することがあります。
  • 【下肢のしびれや違和感】神経の圧迫により、足にしびれや痛みが広がることがあります。
  • 【長時間の立位や歩行が困難】歩いていると痛みが強くなり、休憩すると和らぐ(間欠性跛行)

┃4.すべり症の一般的な治療方法

すべり症の治療法は、症状の程度や患者の生活スタイルに応じて、様々な方法を提案することが可能です。初期の段階では保存療法が中心となり、重症の場合は手術が検討されることもあります。

<保存療法>

軽度から中等度のすべり症に適用されます。

治療法 詳細
リハビリ・ストレッチ 腰回りの筋力を強化し、脊椎を安定させることで、症状の改善が期待できます。
装具療法 コルセットを着用し、腰椎の負担を軽減します。
薬物療法 消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛を和らげる薬を使用することで、痛みを軽減します。

<手術療法>

重度のすべり症や、保存療法で改善しない場合に適用されます。

治療法 詳細
固定術 脊椎をボルトやプレートで固定し、動きを制限することで、すべりを防ぎます。
神経除圧術 圧迫された神経を解放し、痛みを軽減するための手術です。

┃5. 幹細胞治療を用いたすべり症の新たな治療法

近年、再生医療の発展により、幹細胞治療がすべり症の新しい治療選択肢として注目されています。

<幹細胞治療の特徴>

  • 椎間板や靭帯の修復:幹細胞を投与することで、組織の再生を促進します
  • 低侵襲治療:手術を必要とせず、局所的な注射で治療が可能です
  • 長期的な改善が期待できる:痛みの軽減だけでなく、組織そのものを回復させる可能性があります

┃6.幹細胞治療のメリットとデメリット

再生医療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者自身の細胞を使っているので安全性が高く、副作用が少ないです
  • 今までは対応が難しかった症例も根本的に治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療をすることができます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果が現れるまでに個人差があります

┃7.当院の幹細胞治療の流れ

当院で行っている幹細胞治療の流れを紹介します。幹細胞治療を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。

<①カウンセリング>

事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。

<③脂肪採取>

腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院の必要はほとんどありません。

<④幹細胞の培養>

採取した脂肪から幹細胞を分離し、専用の培養施設で増殖させます。培養には約3週間かかります

<⑤幹細胞の静脈内投与、局所投与>

培養した幹細胞を点滴、局所に投与します。

<⑥経過観察>

治療後の効果について定期的に経過観察を行います。治療効果を確認しながら、リハビリを併用します。

┃8.費用について

当院の治療メニューと料金をご紹介します。

項目 価格
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
幹細胞点滴(1億個) 1,650,000円

※すべて自費治療です

┃9. まとめ

すべり症は、加齢や負荷によって引き起こされることが多く、腰痛や神経症状の原因にもなっています。一般的な保存療法や手術療法に加え、幹細胞治療という新しい選択肢も登場しています。当院では、患者様一人ひとりに適した治療を提案し、痛みの軽減と機能の回復をサポートします。腰の痛みやしびれでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

すべり症

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