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2025.03.26

腰痛の原因は放置された疲労骨折?「腰椎分離症」と後遺症治療の再生医療

腰痛の根本原因について考えたことはありますか? 要因は様々ありますが、ほとんどが背骨を指す「脊椎」に何か異常が起きていることで痛みや痺れとなって現れます。ここでは腰痛患者の4割を占める「すべり症」についてと、痛みの改善に効果的だとされる幹細胞を使った再生医療について解説します。

┃1.分離症とは

分離症とは、背骨を構成する椎体と椎弓が疲労骨折を起こして分離してしまった状態のことです。腰部分の腰椎に起こったものを「腰椎分離症」と言います。特に腰は背骨の中でも負荷がかかりやすい部位なので、疲労骨折を起こしやすく、腰痛患者のうち44%が腰椎分離症だと言われています。

分離症となる疲労骨折は、骨が成長している10代に激しい運動をしている子供やスポーツ選手に多く見られます。症状が発生した初期に適切な治療をしないで放置しておくと、骨が折れた部分が結合しないままになってしまい、「疲労骨折」から「分離症」に移行します。

分離症に移行後、さらに放置してしまうと分離した椎骨にずれが生じる「分離すべり症」へと進行。腰痛やしびれが悪化してしまう可能性があります。

>>すべり症についてセルフチェック!

┃2.分離症のこれまでの治療方法

現在の治療には次のような方法があります。

<保存療法>

【装具療法】

コルセットなどを使い、患部を固定することで、骨の修復を促します。骨を本来の形に戻すことができれば、腰痛の根本原因を取り除くことができます。

【リハビリテーション】

患部周りの筋力を強化することで、分離している箇所の骨がずれにくい状態を作ります。

【薬物療法】

痛みがひどい場合は、鎮痛剤の服用や神経ブロック注射などを行い痛みを緩和します。

<手術療法>

痛みやしびれがひどすぎて歩けないなど、日常生活に支障が出ている場合は、分離している箇所を固定したり、切除することで元の状態にできるだけ近づける手術を行います。

【固定術】

スクリューなどを使って、分離している箇所を本来の位置に固定する手術です。分離していることによるズレが無くなるので、すべり症の改善も見込むことができます。

【除圧術】

痛みや痺れの原因となっている神経の圧迫を取る手術です。ズレによって骨が出っ張ってしまって、神経を圧迫している骨を切除し、痛みの根本原因を取り除きます。

【PDR】

PDRは経皮的椎間板再生治療ともいい、患者自身の血液を採取した後、そこから濃縮血小板由来の成長因子を抽出。濃縮血小板由来の成長因子(PRP)と幹細胞上清液を患部の椎間板に注入し、透視装置を使って損傷した椎間板に成長因子と幹細胞上清液を投与します。PLDDと併用することも可能で、日帰りで手術を受けることができます。

>>PDRの詳細はこちら

【PEL】

PELは全ての手術操作を内視鏡下に行う手法であり、体を大きく傷つけずに脊椎内部の奥深いところを観察し、より安全に手術操作が可能となるのが大きな特徴です。

>>PELの詳細はこちら

┃3.再生医療「幹細胞治療」を使った後遺症の治療

分離症を発症して治療したとしても、多くの患者が悩まされるのが後遺症です。神経圧迫が改善しても、壊死してしまった神経細胞は自然に修復することができません。しかし近年、再生医療の研究が進展し、神経細胞も再生できる可能性が高まってきています。神経細胞の再生には「幹細胞」を使います。

<幹細胞治療とは>

幹細胞は身体の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなる細胞です。体の修復能力を持つので、これまで難しかったとされる症状も治すことができると注目を集めています。

幹細胞は分裂して同じ細胞を作る能力を持った「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられます。組織幹細胞の中でも間葉系幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などの組織に存在する体性幹細胞の一種で、さまざまな細胞へ分化することができます。

腰椎分離症による腰痛治療では、患者自身の体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養。それを静脈投与、脊髄腔内投与で患部に注入し、神経細胞の修復を試みます。

┃4.当院の幹細胞治療の流れ

当院で行っている幹細胞治療の流れを紹介します。幹細胞治療を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。

<①カウンセリング>

事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。

<③脂肪採取>

腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院などは不要な場合がほとんどです。

<④幹細胞の培養>

脂肪細胞から幹細胞を分離、培養します。培養には約3週間を要します。

<⑤幹細胞の静脈内投与、局所投与>

培養した幹細胞を点滴、局所に投与します。

<⑥経過観察>

その後の効果について定期的に経過観察を行います。

┃5.費用について

当院の治療メニューと料金をご紹介します。

項目 費用
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
幹細胞点滴(1億個) 1,650,000円

┃6.幹細胞治療のメリットとデメリット

幹細胞治療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者自身の細胞を使っているので安全性が高く、副作用が少ないです
  • 今までは対応が難しかった症例も根本的に治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療をすることができます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果が現れるまでに個人差があります

┃7.まとめ

神経細胞のように傷つくと自然に再生しない機能も、再生医療の発展によって回復できるようになってきました。数十年前には「難しい」と断られてしまった症状でも、今では治すことができるかもしれません。脊髄梗塞の後遺症に悩まれている方は、当院にお気軽にご相談ください。

再生医療

腰椎すべり症

┃YouTubeでも医療知識を紹介しています

今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。



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