ピル購入はオンラインと病院どっちが安い?比較表と保険適用の条件

忙しい毎日の中で、ピルを処方してもらうために婦人科へ通院するのはなかなか難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな方にとって、自宅にいながら医師に相談できて、ピルを処方してもらえるオンライン診療は、とても魅力的な選択肢です。
この記事では、オンラインでピルを処方してもらうメリットやデメリット、おすすめのクリニック、そして安心してピルを利用するための注意点などを詳しく解説します。
ピルをオンラインで処方してもらうことを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ピルは病院に行かなくてもオンラインで処方してもらえる!
ピルを処方してくれるのは産婦人科です。しかし、産婦人科は病院の中でもなかなか受診のハードルが高い診療科です。
でも安心してください。ピルを処方してもらうために産婦人科に足を運ばなくても、オンラインで診療してもらうことが可能です。
オンラインでも医師の処方箋がないとピルは手に入らない
ピルを手に入れるためには処方箋が必要です。
たとえオンラインで診療を受けるとしても、処方箋を出してもらわなければ手に入れることはできません。
また、ピルは飲む時間や周期が決まっており、正しく服用してこそ効果を発揮できます。
ですので、必ず病院を受診し、医師の指示に従って服用するようにします。
ピルはドラッグストアでは買えない医療用医薬品
ピルはドラッグストアや通販サイトでは購入できない医療用医薬品です。ドラッグストアや薬局で購入できるのは一般医用医薬品と言います。
医療用医薬品と一般用医薬品には次のような違いがあります。
医療用医薬品 | 一般用医薬品 |
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ピルは医師の診察を受け、体質や症状に合ったものを使用する必要のある医療用医薬品です。知り合いが持っていたとしても、それを譲ってもらい服用してはいけません。
くすりの成分にアレルギー反応を示すため、そのくすりが使えない人もいます。このため、残ったくすりを自己判断で使用したり、他人に渡してはいけません。
引用元:独立行政法人 医薬医療機器総合機構 Q9 医師から処方されたくすり(医療用医薬品)を使用する場合、どんなことに注意したらよいですか?
もし、以前に同じ薬を使っていたとしても、時間が経過していれば体質が変わっていたり、薬が劣化していたりする可能性もあります。
知り合いからもらったり、譲ったりせず、入手する際は必ず医師の診察を受けるようにしましょう。
オンラインでのピルと実際の診療を受けたピルと価格はそれほど変わりない
オンラインでピルを処方してもらうと、クリニックに実際に受診した時と比べて高いのか安いのか、金額が気になるところです。
ピルは、保険適用されるものと自由診療のものと2つ種類があります。保険適用されれば、支払うのは自己負担分の3割となります。
また、オンライン診療か、対面診療かによる価格差もあまりありません。いずれも低用量ピルは1シート(1ヶ月分)でおよそ3,000円前後、アフターピルは10,000円前後です。
オンライン診療で保険適用される3つの条件
ピルが保険適用となるためには以下の条件が必要です。
- 月経困難症や子宮内膜症の治療であること
- クリニックが保険治療に対応していること
- ピルの種類が保険適用されるものであること
ピルを服用する目的は、治療か避妊か、大きく2つに分かれます。
避妊目的でピルを服用する場合は、すべて自由診療となります。これはオンライン診療だけでなく、対面診療でも同じことです。
治療目的であっても、保険が適用されるのは原則、月経困難症や子宮内膜症など「病気」と診断された場合のみです。 生理不順やPMSの治療のために服用しても、保険適用にはならないことがほとんどです。
生理周期をずらすのも避妊も病気ではないため、保険適用はされません。
また、保険を適用してもらうには、そのクリニックが保険治療に対応していることが必要です。
たとえば、病気の治療ではなく、避妊目的での処方を行っているクリニックでは、すべて保険適用外となります。
オンラインで処方してもらえるピルの種類と選び方
ビルには、月経にまつわる症状を改善する低用量ピル・中用量ピルと、妊娠を防ぐアフターピルがあります。
低用量・中用量ピルは生理にまつわる症状の緩和に使われる
ピルは、含まれている女性ホルモンの量によって低用量ピル・中用量ピル・高用量ピルを見ると3つに分かれます。
高用量ピルは副作用のリスクが高いため、主に使用されているのは低用量ピル・中用量ピルです。
中用量ピルで処方されているのは「プラノバール」のみで、生理周期の移動に使われます。
また、月経困難症の治療に使われる保険適用のピルはLEP、避妊目的で使用する自由診療のピルはOCとして分類しています。
低用量ピルは種類が多いので、こちらに一覧でまとめました。
分類 | 薬の名前 | 特徴 | 種類 | 効果 | 保険適用 |
---|---|---|---|---|---|
第一世代 | ルナベル配合錠LD | 低容量ビル | LEP | 生理痛の緩和 | あり |
ルナベル配合錠ULD | 超低容量ピル | LEP | 生理痛の緩和 | あり | |
フリウェル配合錠LD | ルナベルのジェネリック | LEP | 生理痛の緩和 | あり | |
フリウェル配合錠ULD | ルナベルのジェネリック | LEP | 生理痛の緩和 | あり | |
シンフェーズ | 低容量ビル | OC | 避妊・月経移動・生理周期のコントロール | なし | |
第二世代 | ジェミーナ | 超低容量ピル | LEP | 生理痛の緩和、月経移動・生理周期のコントロール | あり |
アンジュ | 低容量ビル | OC | 避妊・月経移動・生理周期のコントロール | なし | |
トリキュラー | 低容量ビル | OC | 月経移動・生理周期のコントロール | なし | |
ラベルフィーユ | トリキュラーのジェネリック | OC | 月経移動・生理周期のコントロール | なし | |
第三世代 | マーベロン | マーベロン | OC | ニキビ改善・肌荒れ | なし |
ファボワール | マーベロンのジェネリック | OC | ニキビ改善・肌荒れ | なし | |
第四世代 | ヤーズ | 超低容量ピル | LEP | 生理痛の緩和 | あり |
ヤーズフレックス | 超低容量ピル | LEP | 生理痛の緩和 | あり | |
ドロエチ | ヤーズのジェエリック | LEP | 生理痛の緩和 | あり |
第1〜4世代とは、ピルに含まれている黄体ホルモンの種類による分類です。詳しくは後ほど解説します。
- 第1世代:ノルエチステロン
- 第2世代:レボノルゲストレル
- 第3世代:デソゲストレル
- 第4世代:ドロスピレノン
低用量ピルはさらに、病気の治療に使われる医療用ビルと、周期をずらして避妊するピルに分けられます。医療用ピルは保険適用されます。
低用量ピルの分類について
低用量ピルは、「世代」「相性」でも分類されます。
世代は開発した古い順に第1〜4世代に分けられて呼ばれています。先述したように、ピルに含まれているプロゲステロン(黄体ホルモン)も世代ごとに異なります。
ピルには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が含まれています。
低用量ピルに含まれるエストロゲンはすべて同じ「エチニルエストラジオール(EE)」が使われているのですが、プロゲステロンはそれぞれの世代で使われているものが異なります。
分類 | 使用されているプロゲステロン(黄体ホルモン) | 特徴 |
---|---|---|
第一世代 | ノルエチステロン(NET) | ニキビや肌荒れの改善、月経困難症、子宮内膜症の治療効果も高い |
第二世代 | レボノルゲストレル(LNG) | 生理周期が安定しやすい |
第三世代 | デソゲストレル(DSG) | ニキビや多毛症への効果が期待できる |
第四世代 | ドロスピレノン | ニキビやむくみが少ない、副作用が起こりにくい、避妊目的では処方されない |
「相性(そうせい)」は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の含まれる割合によって、分類されます。
低用量ピルは21日間ホルモンが含まれるお薬を服用します。(28錠タイプの場合、残り7日間はプラセボ)
1相性は、その21日間の薬のプロゲステロン配合量が均一です。
一方で3相性の方は、プロゲステロンの含有量が3段階に分かれています。
1相性の方は、ニキビや肌荒れ改善にも効果があるのがメリット。ホルモンの配合量が同じなので、飲み間違えたときも特に支障はありません。また、生理日を移動させるときにも使いやすいです。
3相性の方は、より自然なホルモンバランスに近いので、不正出血が起きにくいといわれています。
このように、低用量ピルにもいろいろ種類があり、特徴があります。
自分の悩みや体調を医師に相談して、適切なピルを処方してもらうのがおすすめです。
低用量ピルの使用目的や価格など
低用量ピルは最も多くの人に利用されているピルです。下記のような人におすすめです。
- 避妊目的で使いたい人
- 生理痛を改善したい人
- PMSに悩んでいる人
- 生理日を移動したい人
低用量ピルには多数の種類がありますが、価格は1シート2,000円~5,000円くらいが相場です。処方されるピルの種類や、クリニックによって費用が異なります。
副作用は強くはないといわれていますが、ホルモンバランスが変わることに違いはないので、飲み始めは注意してください。
超低用量ピルの使用目的や価格など
第四世代の低用量ピルは、ホルモンの配合量が少ないため「超低用量ピル」と呼ばれています。
下記のような人に処方されます。
- 生理痛を改善したい人
- 生理不順の人
- PMSに悩んでいる人
- 子宮内膜症の人
- 月経困難症の人
注意しなくてはいけないのは、超低用量ピルは避妊目的では使用できないということです。
超低用量ピルは、低用量ピルよりも価格は高め。1シート5,000円~10,000円ほどかかります。治療目的で処方されるピルなので保険適用となります。
副作用が出にくいのはメリットです。
中用量ピルの使用目的や価格など
中用量ピルは、低用量ピルよりもホルモンの配合量が多いです。
現在は、月経痛の改善や避妊目的では、低用量ピルや超低用量ピルが使われることが多く、中用量ピルは下記のような人に処方されます。
- 急ぎで月経を移動させたい人
- 緊急避妊
中用量ピルは、低用量ピルよりも大きな効果が期待できるため、低用量ピルで間に合わない月経移動をするときなどに使われます。
副作用が大きいので、定期的に飲むというよりは短期間飲むのに使用されることが多いです。
また、ヤッペ法という緊急避妊にも中低用量ピルが使われます。ただし、今ではアフターピルの方が副作用も少なく効果も高いので、緊急避妊にはアフターピルが使われることが多くなっています。
中用量ピルは、1シート4,000円~6,000円程度が相場です。
アフターピルは性行為後に使用して受精卵の着床を防ぐ薬
アフターピルは、避妊に失敗してしまった場合や、避妊をしていなかった場合に、緊急的に服用することで妊娠の可能性を下げる薬です。
性行為後72時間(3日間)以内、できれば24時間以内の服用が推奨されています。
主な薬を一覧でまとめました。
薬の名前 | 服用のタイミング | 特徴 |
---|---|---|
ノルレボ | 性交渉後72時間以内 | 国内承認済みの薬、避妊率は高い |
レノボルゲストレル(ノルレボのジェネリック) | 性交渉後72時間以内 | 国内承認済みの薬、避妊率は高い |
エラ | 性交渉後120時間以内 | 国内未承認だが猶予時間が長く避妊率も高い |
プラノバール(中用量ピル) | 性交渉後72時間以内に1錠、12時間後に2錠(ヤッペ法) | 2回服用しなくれはならず、副作用も強い |
アフターピルはドラッグストアや薬局で購入することができません。
タイムリミットもありますので、できるだけ早くオンライン診療を受け薬を処方してもらいましょう。
診断を元に医師が適切なピルを選んでくれる
低用量ピルは種類が多いので、どれを選んだら良いか一般の人にはわかりにくいです。ですので、オンライン診療を受け、健康状態を正しく申告した上で、医師の診断を仰ぎましょう。
診療後、私があなたに合うビルを選んでくれます。
オンライン診断からピル購入までの流れ
オンラインでピルを購入する方法は、各クリニックによって多少異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。
クリニックを予約して問診票を提出する
まずはクリニックを選びましょう。
- 予約の方法
- 診療時間
- 取り扱っているピルの種類
などを比較して利用しやすいところを選びます。
ビルの価格は、低用量ピルで1シート3,000円前後ですが、診療料のや配送料の有無によっても、トータルで支払う金額が変わってきます。
価格や予約の取りやすさなどを比較し、利用しやすいクリニックを選びます。
スマホまたはパソコンから予約をしましょう。問診票の記入も含めて登録にかかる時間はおよそ5分です。
現在の健康状態だけでなく、病歴や服用中の薬などについても詳しく記入しましょう。
オンライン診療を受ける
オンライン診療の方法は、クリニックによって違います。電話またはビデオ通話で診断するところもあれば、チャットで診療を行ってくれるところもあります。
健康状態やピルを使う目的に合わせ、医師があなたに最適なピルを処方してくれます。
決済後、薬を発送してもらう
診療の時間は短く、5分〜10分程度で終わります。診療後、決済が完了すればすぐに処方されたピルを発送してくれるでしょう。
当日発送してくれるクリニックであれば、最短で翌日に届く可能性があります。
ピルのオンライン購入のメリット
オンラインでピルを購入するのには、以下のようなメリットがあります。
オンラインだから医師に相談しやすい
婦人科にかかったことのある人はあまり多くないと思います。医師を前にすると緊張してしまい、自分の体についてきちんと話せない人もいるでしょう。
その点、オンライン診療なら、スマホで話すことができますし、クリニックによってはチャットでの診療もあります。
緊張せず、相談しやすい環境で診療を受けられます。不安なことがあれば、どんなに小さなことでも遠慮せずに相談しましょう。
プライバシーを気にせず購入できる
婦人科への通院は、どうしても周囲の目を気にしてしまうものです。オンライン診療であれば、自宅にいながら医師に相談できるため、プライバシーを守ることができます。
クリニックによっては、本名ではなく、ニックネームなどで診療を受けることも可能です。
忙しくても病院に行かずに購入できる
病院へ行くための移動時間や、待ち時間を大幅に削減できます。忙しい方でも、隙間時間を使って診療を受けることができます。
受付時間を気にしなくて良いので、スケジュールの調整がしやすいです。
病院が近くにない人は、通うだけで交通費もかかりますが、オンラインでの診療なら交通費も節約することができます。
土日や祝日でも診療を行なっている
多くのクリニックで、土日や祝日でも診療を行っています。平日、病院に行けない人も、受診しやすいです。
中には、24時間対応のクリニックもあります。夜遅い時間に不安なことがあった場合も、いつでも相談ができます。
定期便やまとめ買いプランで薬代を抑えられる
オンライン診療サービスでは、定期購入やまとめ買いプランが提供されていることが多く、薬代を抑えられます。
複数ヶ月分をまとめて購入するプランを選ぶと、1シートあたりの価格が安くなることがありますし、定期購入プランでは、必要なタイミングでピルが自動的に届くため、買い忘れや飲み忘れを防ぎつつ、割引が適用されて非常にお得です。
さらに、まとめ買いや定期便では送料が無料になるケースもあり、その分もコストも抑えられます。
近くに婦人科がない人も利用しやすい
都市部と異なり、地方では婦人科や産婦人科が少なく、通院に時間や費用がかかることがあります。
オンライン診療なら、スマートフォンやパソコンを使って自宅から診療を受けることができるため、地域の医療格差をカバーできます。
雪や雨などの悪天候や交通手段が限られる場合でも、オンラインで診療・購入が可能になれば、定期的にピルを必要とする人にとって非常に大きなメリットだといえるでしょう。
どのクリニックが良いか比較検討しやすい
オンライン診療では、診療費用やピルの価格が明確に表示されていることが多く、事前に総額を把握できます。クリニックごとの料金を簡単に比較できるため、予算に合った選択ができます。
また、子宮内膜症の治療を目的としたピルを取り扱っているクリニックや、低用量ピルのみを扱うクリニックなど、目的や体質に合ったピルを選べるクリニックを探すこともできます。
さらに、実際に利用した人の口コミやレビューをインターネットで調べることができるため、サービスの質や医師の対応についての情報を得た上で選べます。評価が高いクリニックを選べば、より安心して利用できるでしょう。
緊急避妊の必要があった場合に安心
24時間対応可能で、自宅からでも診察を受けられるオンライン診療は緊急避妊の必要があった場合にも安心です。
避妊をしなかった、避妊に失敗した、ピルを飲み忘れた、望まない性交渉をした、という場合に緊急避妊薬(アフターピル)を服用することで避妊が可能になります。
ピルのオンライン購入のデメリット
便利なオンライン診療ですが、対面で診療できないことのデメリットもあります。
ピルをすぐに受け取れない
対面での診療であれば、診療後、当日中に薬を受け取ることができますが、 オンライン診療ですと、どんなに早くても最短翌日となってしまうでしょう。
アフターピルは、時間との勝負です。不安な人は、オンライン診療よりも近所のクリニックを受診したほうが早いかもしれません。
アフターピルには排卵の抑制や排卵を遅らせる、また受精や受精卵の着床を防ぐ作用があります。服用は時間が経過するほど効果が下がるため、できるだけ早急に服用することが必要です。
厚生労働省のサイトには、緊急避妊にかかる対面診療ができる産婦人科医療機関等の一覧を見ることができるので参考にしてみてください。
緊急時の対応がしにくい
緊急な事態が発生した場合、すぐに対応できない可能性があります。
たとえば、大量の出血や激しい腹痛など、緊急性の高い症状が出た場合は、すぐに近くの病院を受診する必要があります。
内診や血液検査なしに処方するため病気のリスクを見落としやすい
直接身体に触れての診療ができないため、症状を見落としてしまう可能性があります。
特に内診は、あまり受けたくないというのが本音だと思いますが、症状によっては必要な診療です。
オンライン診療では細かな診療は難しく、病気が隠れていたとしても発見しづらいです。
だからこそ、正確に、隠すことなく、自分の体調を申告することが大切です。
送料を含むと割高になることがある
オンライン診療では薬を直に取りに行くことができないため、発送してもらわなければなりません。
送料はおよそ500円から700円程度ですが、その分、処方箋をもらって薬局で受け取る場合と比べると、薬の料金が高くなります。
オンライン診療では原則保険適用ができない
月経困難症や子宮内膜症などの治療薬としてピルを処方してもらうときには、健康保険が適用されることがあります。適用されれば自己負担3割の支払いでOKです。
保険が適用されるかどうかはピルの種類にもよります。LEPに分類されているピルであれば保険適用される可能性があります。
ただし、オンライン診療では、保険適用での処方に対応していないことが多く、自費診療となることがほとんどです。
対面での診療では保険適用ができる場合でも、オンラインクリニックでは保険適用外になることが多いのもオンラインピルのデメリットです。
オンライン診療は簡単なものになりがち
オンライン診療では体の状態を実際に見てもらうことができず、言葉でのやり取りが中心となります。
医師が気になることがあった場合でも、詳しい検査をすることもできません。
万が一、病気が隠れている場合などでも、しっかり見てもらえない可能性があることがデメリットです。
オンライン診療では静かな環境を用意する必要がある
オンライン診療は、自宅など自分の好きなところで診察が受けられるのがメリットですが、集中できる環境を用意する必要があります。
対面での診療であれば、病院の診察室で集中力をもって医師の話を聞くことができますが、自宅が騒がしかったり、テレビがついていたりという環境だと、集中して話を聞くことができず、話を聞き逃してしまうこともあるかもしれません。
集中して話を聞くことができる、静かな環境を用意する必要があります。
通信環境がよい場所でないとスムーズな診察ができないことがある
インターネット通信がしっかりできる場所でないと、途中で通信が中断されたり、医師の声が聞き取りにくくなったりすることがあります。
インターネットがやっとつながっている、という場所は避けることです。通信環境が良好であることを確認しましょう。
こちらの話もしっかり伝わらないと、時間がかかったり、聞き間違いをしたりする可能性があります。正確な診断のためにも、通信環境はしっかりチェックすることです。
また、スマホやパソコンなどの通信機器の充電切れなどにも注意しましょう。
スマホやパソコンの操作に慣れていないと面倒に感じる
オンラインで診察を受ける場合、スマホやパソコンなどを操作し予約をしたり、画面を出したりしなければなりません。そのため、スマホやパソコンなどの操作に慣れていないと、面倒に感じてしまでしょう。
予約時に問診を入力するケースも多く、中にはビデオ通話用アプリなどのダウンロードが必要な場合もあります。
ビデオ通過のやり方などが公式サイトに詳しく記載されていたり、動画で説明をしていたりする場合は目を通してみて、わからない点や不安な点があれば、問い合わせてみるとよいでしょう。
ほしいピルを取り扱っているかクリニックかどうか事前に確認する必要がある
オンラインクリニックによって、取り扱っているピルの種類が異なります。
診察を受けてから、必要なピルの取り扱いがなかった…とならないように、事前に公式サイトなどで確認しておく必要があります。
特に生理日を移動したい場合や緊急でアフターピルが欲しい場合など、急いでピルを処方してほしい時は注意が必要です。
オンラインピルは決済に手間取るとピルが届くまでに時間がかかる
多くのオンラインクリニックでは、ビデオ通話などの診察が完了した後、お支払いをして、ピルが届くのを待つ形になります。
対面のクリニックでは、その場でお支払いをして、ピルを受け取って帰ることができます。
オンラインクリニックでクレジットカードの支払いにトラブルがあったり、コンビニ払いの支払いになかなか行けなかったりと、支払いに手間取ると、その分ピルが届くのが遅くなってしまいます。
場合によっては、ピルを飲み始めるタイミングを逃してしまうリスクがあります。
オンラインピルの定期便には注意が必要
オンラインピルには、定期便が用意されているクリニックも多くあります。
1シート当たりの価格や送料がお得になるのですが、ピルを服用し始めたときには注意が必要。
処方されたピルが体に合わず、変更や中止をする可能性があるからです。
対面の診療であれば、診察のタイミングですぐにピルの変更が可能ですが、オンラインピルでは自分で気をつける必要があります。
解約がきちんとできるオンラインピルなのかも事前にチェックしておかないといけません。
オンラインクリニックでは定期的な検査ができない
ピルを服用するときは、血液検査や性感染症検査、乳がん検診、子宮頸がん検診を定期的に行うことが推奨されています。
オンライン診療ではこれらの検査を行うことが難しく、自分で対面のクリニックに行って検査をしてもらう必要があります。
ピルをオンラインで購入した人の口コミ
実際にピルをオンラインで購入してみてどうだったのか、口コミを見てみましょう。
ポジティブな口コミ
ポジティブな口コミとしては、忙しくても通院できることや、プライバシーが守られる点を挙げている人が多かったです。
婦人科に行くのが恥ずかしかったけど、オンラインならプライバシーを守って相談できる
- 周りに知られずに済むので、安心して始められた
- 忙しい中でも気軽に相談できるのが嬉しい
- 料金体系が分かりやすく、安心して利用できた
- 疑問点を気軽に質問できたので、納得して始めることができた
などの口コミが見られました。
また、料金が明確に表示されているので、予算を立てやすかったことや、注文した翌日には届くのですぐに利用できた点も大きなメリットとして挙げられていました。
ネガティブな口コミ
ネガティブな口コミとしては、対面診療との違いにまだなれていない人が多く、オンライン診療への不安を感じているという声が少なからず見られました。
通院する必要がないというのは大きなメリットなのですが、婦人科の悩みはデリケートな事柄だからこそ、顔を見て相談し、安心してピルを購入したいという口コミも見られました。
- 副作用が出た時に、すぐに相談できるか不安
- 個人情報が漏洩するのではないかと心配
- 希望のピルがなかった
- 診察料や薬代が思ったより高かった
などの口コミもありました。
料金が明確で、まとめ買いや定期便を利用すれば薬代が安くなるクリニックもありますが、そうすると最初にある程度まとまった金額が必要になってしまうため、予算的に厳しいと感じている人もいます。
副作用については、緊急時の連絡先を事前に確認しておくと安心ですし、薬代については最初はお試しで数回使ってみて、自分の体に合っていることを確認してから、徐々に定期便になどに移行していっても良いでしょう。
ピルをオンラインで購入する際の注意点
ピルをオンラインで購入する際は、以下のことに注意してください。
信頼できるクリニックで診療を受ける
信頼できるクリニックを選ぶには、婦人科専門医など、専門的な知識と経験を持つ医師がいるかどうかを必ず確認しましょう。
また、
- 診療費や薬代が明確に表示されているか
- セキュリティはしっかりしているか
- 配送はプライバシーに配慮しているか
- 予約は取りやすいか
など、さまざまな角度から比較してみます。
クチコミなども参考にし、安心して受診できるクリニックを探します。
信頼できる医師が診察をしてくれるのかどうかもチェックしたいところです。
- 公式サイトに医師の紹介がある
- 婦人科や産婦人科での実績がある医師が診てくれる
といったことのほか、オンライン診療に慣れている医師の方がスムーズな診察ができるでしょう。オンライン診療をする医師は研修が必要です。研修を受けていることが記載されていれば、より安心です。
継続しやすい価格かどうか比較する
避妊目的や旅行など都合に合わせて生理周期をずらしたいなど、保険適用されないピルを使用する際は、価格も大切です。
自由診療の場合はクリニックが価格を決めていますので、同じ薬でも価格が違うのです。
受診してみたいクリニックが見つかったら、他のクリニックと比較して高すぎないかどうか、ピルの価格もよく見てください。
また、次のようなポイントで比較すると、継続しやすい価格かどうかがわかります。
- 診療料がかかるか
- 送料はいくらか
- 定期購入で割引されるか
料金表をよく確認し、続けやすい価格のクリニックを選びましょう。
保険適用の場合は3シートまでと制限がある
保険診療には、さまざまな制約があります。薬の量もそのひとつで、定期的に診断を受ける必要があることから、保険適用のピルは、一度に処方できるのが3シート(3ヶ月分)までとなっています。
3シート以上使いたい場合は、その都度診療を受けなくてはなりません。
健康状態などを正確に医師に伝えること
対面での診療と違い、医師は画面越しに患者を見ることになります。
電話やチャットでの診療では、顔を見ることすらないため、正確な診断をしてもらうには、自分の健康状態や気になっていることを、正確に、もらさず申告することがとても大切です。
問診や診察で聞かれる可能性が高いのは以下のようなことです。
- 不正出血の有無
- 大きな手術の有無
- 過去にかったことのある病気について
- 希望のピルの種類
- 服用中のピルや薬
- 妊娠の有無
- 喫煙の有無
- ピルを含め薬の服用によって生じたことのある副作用 など
時間は限られているので、聞きたいことや不安な点はメモしておくとよいでしょう。
予約時間の前後は少なくとも15分程度空けておく
オンライン診療は予約時間に診療が始まり、5分~15分程度で診察が終わるケースが多いです。時間厳守で始まり、診察時間が延びることもあまりありませんが、何が起こるかは分からなので、予約時間の前後は少なくとも15分程度は空けておきましょう。
診察内容によっては、医師からの注意点や説明などが多くなり、5分では終わらない場合もあります。また、こちらから聞くことが増えてしまい、予定していた時間より長くかかることもないとは言えません。
また、キャンセルをしなければならなくなった場合についても、キャンセル料金などについて確認をしておきましょう。
医師の指示に従って正しく薬を服用すること
ピルが効果を発揮するには、飲むタイミングが重要です。
たとえば、低用量ピルは1日1錠飲まなくてはなりませんが、できれば決まった時間に飲んだ方が、効果を得やすいです。
普段、20時にピルを飲んでいる人がうっかり飲み忘れた場合、気づいた時間によって、その日のうちに1錠飲むか、次の日の同じ時間に飲むかが違ってきます。
数時間の誤差なら、気付いた時点で飲んで構わないのですが、半日以上開いてしまった場合は、いつもの時間に2錠飲んだ方が良いのです。
飲み方を間違えると、ピルの効果を得られません。飲み方については医師の指示通り、正しく服用しましょう。
トラブルが起きた時の対処法を確認しておくこと
ピルを服用すると、出血したり、吐き気や頭痛などの症状が起きたりすることがあります。
そのような症状が起きたときにどうすれば良いのか、オンライン受診の際に、必ず確認しておいてください。
- 薬をやめたほうがいいのか
- すぐに近所の婦人科を受診した方が良いのか
- すぐにオンライン診療の予約を入れて診てもらえるのか
など対処法を聞いておきましょう。
安易に通販サイトから購入しない
ピルは、処方箋が必要な薬です。海外ではドラッグストアでピルを売っている国もありますから、風邪薬と同じような感覚で購入する人がいますが、残念ながら日本ではまだ処方箋なしに買うことはできません。
海外で使われているなら、通販で購入しても良いのでは?と思われるかもしれません。しかし、海外のサイトからの個人輸入では、粗悪品がまぎれていることがあります。
ピルの効果が得られないばかりか、健康被害を引き起こす可能性もあります。ですから、安易に通販でピルを購入しないようにしてください。
実際に、低用量ピル(マーベロン)を個人輸入し服用した女性が、以下のような健康被害にあっています。
約2週目より下痢,嘔気,下肢浮腫,食思不振の後下肢こむらかえり,鼠径部痛などを生じたため服用中止したところ上記症状は軽快した
女性は一度服用をやめて症状が改善し、再度服用を始めたところ、今後は咳や息切れを発症。肺梗塞が疑われ、入院・治療となったそうです。
厚生労働省では、個人輸入による医療用医薬品の購入・服用について注意喚起を促しています。低価格だから、診察が面倒だからといった理由で、安易に海外通販サイトや個人輸入の通販などを利用しないようにしましょう。
アフターピルは100%避妊できるわけではない
アフターピルの避妊率は、飲む時間にもよりますが、95〜98%程度と非常に高いです。
ただし、100%避妊できるわけではありません。
アフターピルを過信することなく、今妊娠を望んでいないのなら、きちんと避妊対策をしておくべきです。
また、本当に妊娠を避けられたかどうかは、次の月経が来たときか、専門医による直接診療で診てもらわなければわかりません。
場合によっては子宮外妊娠をしている可能性もあります。3週間前後に婦人科で対面診療をして、妊娠をしていないか、体に異常がないかどうかを確認しましょう。
子宮外妊娠などがなくても性感染症などのリスクもあるので、医療機関できちんと検査をすることをおすすめします。
診察はできればチャットではなくビデオ通話がおすすめ
チャットでは言葉だけでやり取りするため、体調や不安を正確に伝えるのが難しい場合があります。ビデオ通話なら、医師が患者の表情や声のトーンを通じて、心配事や症状の深刻さをより正確に把握できます。
体調に関わる目の充血、皮膚の異常、顔色など、ビデオ通話で医師が確認できる情報もありますから、できるだけ精度の高い診察をしてもらおうと思ったら、ビデオ通話の方が適しています。
厚生労働省でも、チャットのみで完結しないようにと、最低限遵守する事項を定めています。
チャットのみですと、どのような医師が診察をしているのかわからないという不安も残ります。
安全にオンラインクリニックを利用するためにも、ビデオ通話で診察してくれるクリニックで購入したほうが良いでしょう。
ピルについての基礎知識を改めておさらい
ピルとはどのような効果のある薬なのか、使用する前に、基礎知識を理解しておくことが大切です。
ピルとは女性ホルモンを含んだ薬のこと
ピルとは、女性ホルモンが配合された飲み薬で、
- 排卵を抑制し、妊娠を防ぐ
- 生理周期を安定させる
- 生理痛を軽減する
- 生理の出血量を減らす
- ニキビの改善
- PMS(月経前症候群)の緩和
などさまざまな効果があります。
女性ホルモンが脳に働きかけることにより、排卵をずらしたり、子宮内膜が暑くなるのを抑えたりして、妊娠しないようにするのです。
一般的に利用されているのは、低用量ピルまたは超低用量ピルです。
このほか、性行為後に服用することで、受精卵の着床を防ぐアフターピルもあります。
ピルが避妊薬となる仕組み
低用量ピルを服用することでホルモンバランスが妊娠しているときと同じ状態になるため、脳は「妊娠している」と勘違いし、排卵が抑制されるのです。
また、子宮内膜が厚くならないことで、受精卵が着床しにくくなることも避妊効果につながります。ピルを服用している間は避妊効果が期待でき、服用をやめれば生理が再開します。
子宮内膜の増殖を抑えることで生理痛やPMSが軽減される
ピルにはエストロゲンとプロゲステロンが含まれ、ホルモンバランスを調整します。ホルモンの急激な増減がなくなることで生理痛やPMSの症状を軽減することが可能です。
また、ピルを服用することで子宮内膜の増殖を抑えることができるのも、生理痛の緩和につながります。
生理痛は子宮内膜がはがれ、排出される際に子宮が収縮することが原因の一つと言われています。子宮の収縮を促すのが、プロスタグランジンという物質です。
ピルはPMSの改善にも有効と言われています。
PMS(月経前症候群)とは、生理の3~10日くらい前から現れるさまざまな症状です。PMSは以下のような症状が、体や心に現れます。
- 頭痛
- 眠気
- 胸やお腹の張り
- 倦怠感
- 関節痛
- 筋肉痛
- 手足のむくみ
- 食欲増進
- 便秘
- 肌荒れ
- イライラ
- 集中力の低下
- ちょっとしたことで泣きたくなる
- 不安感 など
PMSの原因の一つは排卵後、女性ホルモンの急激な変動によるものと考えられています。そこで、排卵を止め、ホルモンの急激な変動を少なくするピルを服用することで、PMSの症状を軽減できるのです。
ホルモンバランスを整えるピルは生理不順の改善にもつながる
ピルにはホルモンバランスを一定にする働きがあるため、生理周期を安定させる効果が期待できます。
生理不順の主な原因はホルモンバランスが乱れてしまうことと言われています。ホルモンの分泌量が少ないなど正常に分泌されていないと、ホルモンバランスが乱れてしまうのです。
エストロゲンとプロゲステロンが含まれるピルを服用することでホルモンバランスが整い、生理周期が安定する効果が期待できます。
生理の出血量が減り貧血を防げる
生理は子宮内膜がはがれて排出されることで起こります。ピルを服用すると子宮内膜を厚くすることを防げるため、出血量も少なくなるのです。
生理時の出血が多いと貧血になることで、めまいや立ちくらみなどのほか、体も疲れやすくなります。生理用品の交換もこまめにしなければ不安になるものです。
経血量が減ればそのような心配もしなくてすみます。貧血を防げるのも大きなメリットです。
ピルは「生理を早めたい」「生理を遅らせたい」を可能にする
ピルは「生理を早める」「生理を遅らせる」といった月経移動を可能にします。月経移動には中用量ピルを使用するケースが多いのですが低用量ピルも使用できます。
低用量ピルは副作用が出にくいのですが、服用期間が長くなります。中用量ピルは服用期間が短くてすむのですが、エストロゲンの含有量が低用量ピルより多く、その分副作用が出やすいのがデメリットです。
クリニックによっては低用量ピルによる月経移動は行っていないケースもあるので、確認が必要です。
ピルを使用して生理を早くしたり、遅らせたりできることで、大事な会議があるときに体調不良を起こさずにすむ、旅行中は生理になりたくない、などといった不安や心配を回避できます。
しかし、移動したい生理予定日の5~7日前から服用する、連続で1週間~2週間服用するなど、スケジュール管理が必要です。
服用のタイミングを間違えると希望通りの移動ができなくなることもあるので、余裕を持って準備をしておいた方がよいでしょう。
ピルは子宮内膜症の予防になる
ピルの服用は子宮内膜の増殖を抑えることができ、子宮内膜症の予防や治療への効果が期待できます。
子宮内膜症とは子宮内膜が子宮の内側ではない場所に入って増殖してしまう病気です。子宮内膜症は卵巣や卵管、子宮などさまざまな場所に発症します。
卵巣に発症すれば卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)、子宮の筋層内で増殖すれば子宮腺筋症という病気になることもあり、放置しておくと腹痛や腰痛を引き起こしたり、また不妊の原因になったりします。
低用量ピルは子宮内膜症の治療にも用いられますが、服用することで子宮内膜が増殖して発症する病気を予防できる可能性があるのです。
ピルが効かない場合は病気の可能性もあるので早めに医療機関を受診する
ピルを服用しても出血量が減らない、生理痛がひどいなどといった症状が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。
もしかしたら以下のような病気が隠れている可能性があります。
疾患 | 主な症状 |
---|---|
子宮内膜症 | 月経以外でも下腹部痛や腰痛がある、排便や性交時の痛み |
子宮筋腫 | 過多月経、腹痛、貧血、頻尿、不妊症 |
子宮腺筋症 | 過多月経、月経困難症、お腹だけぽっこり出ている、肛門の奥の痛み |
子宮内膜ポリープ | 過多月経、不正出血、めまい、倦怠感 |
子宮体がん | 不正出血、下腹部痛、腰痛、足のむくみ |
子宮頸がん | 不正出血、おりもの異常、下腹部痛 |
黄体ホルモン分泌異常 | 生理不順、不正出血 |
また、婦人科系の疾患だけでなく、内科的な疾患の可能性もあります。早めに検査を受け、適切な処置や治療をしてもらいましょう。
ニキビ改善など避妊以外にも効果が期待できる
ピルはニキビや肌荒れなど、肌のトラブル改善にも効果があります。
女性は生理の前になるとニキビが増えることがありますが、これはホルモンバランスの乱れが原因です。
ピルを服用することによってホルモンバランスを整えると過剰な皮脂の分泌を抑えられるので、ニキビ予防につながります。
ピルは飲み方が大事!飲み忘れないように気をつける
ピルを飲み忘れると、避妊効果が低下するほか、生理周期が乱れたり、不正出血が起こったりする可能性があります。
ピルは毎日決まった時間に服用することで体内のホルモンバランスを一定に保ち、高い効果を発揮する薬です。
飲むタイミングや回数は医師の指示通りにし、飲み忘れないことが大切です。
飲み忘れたからといって、自己判断で2回分を一度に飲んではいけません。
他の薬との併用にも注意!医師の指示に従うこと
ピルには、併用してはいけないとされている薬があります。
- 抗てんかん薬(バルビツール酸系・ヒダントイン系)
- 抗結核薬(リファンピシン、リファブチン)
- 抗生物質(テトラサイクリン系・ペニシリン系)
- HIV治療薬(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬・HIVプロテアーゼ阻害薬)
- 精神刺激薬 (モダフィニル)
- 抗真菌薬(フルコナゾール・ボリコナゾール)
- 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)
- 一部のハーブ(セントジョンズワート)
上記の薬は、ピルの効果が減少したり、 逆に増強されて副作用が起こりやすくなったり可能性があります。
もし今服用している薬があれば、必ず医師に申告してください。
ピルの保管方法と有効期限に注意する
ピルは、変質が劣化しないよう、保管するときは以下のことに気をつけてください。
- 直射日光や高温多湿を避ける
- 風通しの良い冷暗所で保管する
- 他の薬と混ざらないように気をつける
- 中身を出して他の容器に入れ替えをしない
- 子供やペットの手の届かないところで保管する
また、薬には必ず使用期限が記載されています。期限内に使い切り、期限を過ぎたピルは服用しないでください。
また、使わなかった薬を取っておいて後で自己判断で飲むようなこともしないでください。
ピルの一般的な副作用
ピルを服用すると、以下のような副作用が見られることがあります。
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛
- 不正出血
- 乳房の張り・痛み
- 下腹部痛
- 血栓
副作用の発現率や度合いは、個人差があります。必ず起こるものではありません。
副作用の中でも心配されるのが血栓症ですが、発症率は年間1万人に3~9人程度とされています。
ピルを服用中の人よりも、むしろ妊娠中の方が血栓症のリスクが高いことがわかっています。
副作用を気にしなくて良いわけではありませんが、過剰に恐れる必要もないでしょう。
ピルの副作用を軽減する方法
副作用を軽減し、快適にピルを服用するためには、いくつかの方法があります。
まず、 朝薬を飲んで日中副作用の症状が辛い場合は、飲む時間を変えて寝る前に飲んでみます。寝ている間なら副作用が気にならないこともあります。
それでも症状があまりに辛い場合は医師に相談し、吐き気止めや痛み止めなどを処方してもらいましょう。
薬を追加しても症状が治まらない場合は、やはり医師に相談しピルの種類を変えてもらうのもありです。
また、ストレスや睡眠不足、運動不足など生活習慣の乱れも体調不良につながります。
ピルを飲めない人もいる
下記に当てはまる人はピルを服用することができません。
- 初潮前、閉経後の人
- 高血圧の人
- 妊娠中、授乳中の人
- 乳がん、子宮がんにかかっている人
- 35歳以上で、タバコを15本以上吸う人
- 前兆のある片頭痛がある人
その他にもコレステロール値が高い人、肥満の人、身内に乳がんの患者がいる人など、注意が必要な人がいます。
重篤な副作用を引き起こす可能性があるので、気になることがある人は必ず医師に相談しましょう。
避妊効果が高いピル!ほかの避妊方法と比較
妊娠を望まない場合、できるだけ確実な避妊方法を選択したいものです。ピルは他の方法に比べて避妊効果が高いと言われています。
避妊方法 | 使用方法 | パール指数 |
---|---|---|
低用量ピル | 錠剤を毎日服用 | 0.27人 |
コンドーム | 性器に装着し精子が膣内に入らないようにする | 2~15人 |
リズム法 | 月経周期や基礎体温などから妊娠しやすい日を避ける | 1~25人 |
不妊手術(男性) | 手術により精子の通り道をふさぐ | 0.1人 |
不妊手術(女性) | 手術により卵子の通り道をふさぐ | 0.5人 |
子宮内避妊用具(IUD) | 子宮に器具を挿入し着床を防ぐ | 0.6~2人 |
子宮内避妊システム(IUS) | 子宮内に器具を装着し黄体ホルモンを持続的に放出させ避妊効果を得る | 0.1~0.2人 |
避妊なし | ― | 85人 |
※パール指数:100人の女性が使用1年間で避妊に失敗する数
ピルはより確実で使用方法も難しくありません。服用を中止すれば妊娠することもできます。
正しく使えば問題なし!ピルに関する間違った情報
ピルを巡る情報の中には、残念ながら誤った情報も多く流れています。正しく理解し、安全にピルを使用するためには、正しい知識を持つことが大切です。
ピルを使うと不妊になる
ピルは一時的に排卵を抑える作用がありますが、服用をやめれば通常、自然に排卵が再開し、妊娠できるようになります。
ピルは避妊目的で使用されますが、長期間使用しても不妊を引き起こすわけではありません。不妊症になるわけではないので、安心してください。
ただし、妊娠しにくい場合がある人や、ピル以外の要因で不妊のリスクが高い場合もあります。ピルをやめた後は、通常の妊娠能力が戻ります。
ピルを飲むと太る
ピルのホルモン成分が体重に影響を与えることがありますが、すべての人が太るわけではありません。
一部の女性は、むくみや食欲増加が起こることがあるものの、最近の低用量ピルは体重増加のリスクが少なく、実際にはほとんどの女性に体重変化は見られません。
もし体重の増加が気になる場合は、別のピルに変更することもできます。不安なことがあれば、医師に相談しましょう。
ピルを飲めば性病も防げる
ピルは妊娠を防ぐための薬であり、性病(STI)を予防する効果はありません。性病を防ぐためには、コンドームを使用することが重要です。
コンドームは、妊娠防止と同時に性病の予防にも効果的です。
ピルを使うと乳がんのリスクが高くなる
ピルを使うことによる乳がんのリスクについての研究結果は複雑で、使用する期間や年齢などによってリスクが異なる場合があります。
また、ピルの使用は卵巣がんや子宮体がんのリスクを減少させることもあります。個人のリスクに関しては体質や遺伝の問題もあるので、医師に相談しながら決めることが大切です。
ピルで月経周期を変えるのは体に悪い
ピルは月経周期を調整するために使われることもあります。月経不順や過多月経、生理痛の改善には、ピルが非常に効果的です。
月経周期が整うことで、ホルモンバランスが安定し、体調が改善されることがあります。体に悪いわけではなく、むしろ月経に関する症状が改善されることが多いです。
医師の指導の下で使用すれば、なんの問題もなく安全に利用できます。
ピルを飲むのは性に奔放な女性だけ
ピルは避妊だけでなく、生理痛や月経不順の改善、子宮内膜症の治療など、さまざまな目的で使用されています。
性的な活動に関係なく、体調管理や健康管理の一環としてピルを服用することは、全く問題ありません。
ピルの使用は、医師が勧める治療法や予防策として、幅広い女性に利用されています。
フェムテックの推進によって自分の体を守るきっかけづくりができる
フェムテック(Femtech)とは、「Female」と「Technology」の造語で、女性の健康をテクノロジーでサポートする分野のことです。
女性特有の生理、妊娠、出産、更年期など、ライフステージごとの健康課題に対して、アプリ、ウェアラブルデバイス、オンライン診療など様々なテクノロジーを活用して解決していきます。
2025年には約2兆円の経済効果が見込まれる分野です。
ピルのオンライン処方は、フェムテックの代表的な例といえるでしょう。従来、婦人科を受診して医師に相談し、処方箋をもらう必要があった低用量ピルを、オンラインで手軽に処方してもらうことができるようになりました。
婦人科は、女性にとって受診のハードルが非常に高い診療科です。 体に異常を感じても、すぐに受診しようという気になれない人も多いでしょう。
しかし、ピルのオンライン処方が可能になったことから、もっと気軽に自分の体について相談できるようになったのではないでしょうか。
ピルの処方以外でも、オンラインで婦人科を受診する事は可能です。婦人科系の病気は初期症状が少なく、早い段階で気づくことが難しい病気もあります。地域や時間的な制約なく受けられるオンライン診療を積極的に活用して、自分の体を守っていきましょう。
対面とオンラインのどっちがよいかはライフスタイルや症状によって選択する
対面診療とオンライン診療のどっちがよいかは一概には言えません。目的やライフスタイル、プライバシーを守りたいなどさまざまな理由に適した方を選ぶとよいでしょう。
オンライン診療が適しているケース
忙しくて病院に行けない、産婦人科に行くのは気が重いといった場合は、オンライン診療がおすすめです。
- 通院時間を節約したいなど病院に行く負担を減らしたい
- 産婦人科の待合室にいるのは気が重い
- 病院で感染症にかかるリスクを避けたい
- 転勤など引っ越しがあっても医療機関を変えたくない
- 定期的な検査などをしていて健康に問題がない
- 対面でなくても医師とのコミュニケーションに不安がない
フルタイムで仕事をしている、小さな子どもがいるなどといった場合、待ち時間が読みにくい対面診療だと、なかなか時間を作れないものです。
病院に行けないまま時間が経過してしまうと、万が一何等かの病気が発症しているとすれば進行してしまいます。オンライン診療はタイミングによっては、当日に予約ができることもあり、早めに医師と話ができるでしょう。
誰にも知られずに産科・婦人科の診察を受けられるのが、オンライン診療の大きなメリットの一つです。また、転勤などが多くてもかかりつけ医を変えずに済むのも安心でしょう。
オンラインでの診療に不安がないなら、オンライン診療を利用するメリットは多いものです。ただし、オンライン診療のみでは検査などができないので、必要に応じて対面診療は避けられない点は理解しておきましょう。
対面診療が適しているケース
過多月経や月経困難症などの症状が重く検査や治療が必要だったり、オンラインでのやり取りに不安があったりする場合は、対面診療の方が安心です。
- 婦人科系などの病気の可能性があり検査や治療が必要
- オンラインより医師と直接会って話をしたい
- スマホやパソコンの操作ができない、不安がある
- 支払いに現金以外の方法を利用したくない
オンライン診療には限界があり、病院でないとできない検査があります。ピルを服用しても月経の出血量に変化がなかったり、PMSの症状が少しも改善しなかったりする場合は病気が隠れていることもあり、検査が必要です。
画面を通したコミュニケーションが取りにくい、対面の方が安心感があるという場合もあるでしょう。
また、オンライン診療の支払いは基本的にクレジッカードやQRコード決済などが多く、現金での取り扱いができない場合もありますが、対面診療であれば現金での支払いが可能です。
オンライン診療と対面診療の両方を使い分けるのがおすすめ
病院に足を運ぶ必要のないオンライン診療は便利なものです。便利な点を利用したい場合はオンライン診療を選び、オンラインではできない検査や不安な点がある場合は対面診療を選ぶというように、両方を使い分けるのも方法の一つです。
オンライン診療は時間的な拘束もなく、24時間診察を受け付けているクリニックも多く、忙しい人でも診察を受診しやすいものです。
病院に行く時間はなかなか作れなくても、オンラインであればすぐにでも受診できるでしょう。都合がつかず診察を先延ばしにすることもありません。
すぐにでも受診可能なオンライン診療なら、病気などが隠れていた場合、検査をするきっかけになったり、早めに適切な対応ができたりするものです。
避妊薬としてピルを服用する場合でも、定期的な検査が必要です。
検査の時期としては、少なくとも服用開始直後は1カ月目、3カ月目、以後は3ヵ月毎に検診し、早期に副作用の発生を知るために十分な問診を施行すべきである。
最初は問題なく服用ができても、体調に変化があったり、副作用が出やすくなったりすることもあるものです。安心して服用するためにも、オンライン診療だけでなく対面での診察も受けることをおすすめします。
ピルのオンライン購入についてよくある質問とその回答(Q&A)
ビルのオンライン購入について、よくある疑問や質問とその回答についてまとめました。
ピルはオンラインで買えるのですか?
低用量ピル、中用量ピル、アフターピルはオンラインで購入が可能です。
ピルは、医師の処方箋がなければもらえない薬です。オンラインクリニックで医師の診療を受け、ピルを処方してもらいます。
オンラインピルは安全ですか?
婦人科医の診断を受けて処方してもらうビルは安心して利用できます。日本では未承認の薬であっても、クリニックが責任を持って輸入している薬を処方してもらえるならば、問題ありません。
ただし、安易に個人輸入するのは危険です。偽造品や粗悪品が送られてくる可能性があります。
海外サイトなどから自己判断でピルを購入しないようにしてください。
オンラインでピルを処方してもらう際の流れはどうなっていますか?
まず、オンライン診療を行っているクリニックを予約し、オンラインで診療を受けます。
その上で、医師の判断のもと、今の症状に合ったピルを処方してもらいます。
処方箋を持って薬局に行くのではなく、クリニックから直接ピルが送付されてきます。
オンラインピルの相場はいくらくらいですか?
薬の種類にもよりますが、一般的な相場は以下の通りです。
- 低用量ピル:3,000円前後
- 超低用量ピル:4,000円〜9,000円前後
- アフターピル:10,000円前後
なお、オンライン診療でも対面診療でも、薬の値段にそれほど差がありません。
診療なしでピルを購入できますか?
日本では、医師の処方箋なしにピルを購入することはできません。必ず診療を受ける必要があります。
薬局やドラッグストアでは売ってない薬です。安易に個人輸入などをしないようにしてください。
信頼できるクリニックはどうやって選べばいいですか?
ピルを処方してもらうために信頼できるオンラインクリニックを選ぶのは、とても大切です。産婦人科専門医や女性医療に詳しい医師がいるクリニックがおすすめです。
また、どのような流れで診療が行われるのか、詳しく説明されているかを確認しましょう。
ピルの金額についてもきちんと明記されているクリニックが安心です。
ピルを服用し始めると副作用が起こることがあります。緊急事態が起きたときに、気軽に相談できる体制が整っているかどうかも、確認してください。
オンラインピルは保険適用されますか?
月経困難症の治療のために処方されるピルは保険適用の対象です。
単に生理の周期をずらしたい場合や、避妊の目的で利用するピルは、原則自費診療となります。
未成年でもオンラインでピルを購入できますか?
ピルは、生理が始まっていれば、未成年でも購入は可能です。
ただし、クリニックによっては、学生証の提示が必須など条件がある場合がありますので、事前に確認してください。
保険治療でなければ、保険証の提示を求められることはなく、保護者に連絡がいくこともありません。
オンラインでピルを頼んだらすぐに届きますか?
オンラインでピルを購入した場合、通常は2~5日以内に届きますが、配送方法や地域によって異なります。配送業者やサービスによっては、さらに早く届く場合もあります。
購入後の追跡番号が提供されることも多いため、配送状況を確認できます。早めにピルを手に入れたい場合は、事前に配送にかかる時間を確認しておくと安心です。
海外からピルを個人輸入できますか?
日本では、個人輸入によるピルの購入は一定の条件を満たす場合に許可されていますが、リスクが伴います。
海外からピルを個人輸入する場合、品質や成分が日本の基準と異なる可能性があり、偽造薬を受け取るリスクもあります。
安全を確保するためには、お近くの婦人科か、信頼できるオンライン診療サービスを通じて購入することをおすすめします。
どのピルを飲んだらいいかわからないときは?
どのピルを飲むべきか分からない場合は、オンライン診療サービスを利用することをおすすめします。
オンラインで問診票を記入し、その情報に基づいて医師が適切なピルを提案します。
専門家のアドバイスを受けながら、自分の健康状態や使用目的に合ったピルを処方してもらえるので安心です。
また、過去に使用したピルがあれば、その情報も共有すると、より適切な選択ができます。
オンラインクリニックではプライバシーが守られますか?
信頼できるオンラインクリニックでは、個人情報やプライバシーを厳格に保護するために、高いセキュリティ基準を設けています。
個人情報は暗号化され、医師とのやり取りもプライバシーが守られる環境で行われます。
ただし、利用する前に、サイトのプライバシーポリシーやセキュリティ対策を確認することをおすすめします。信頼できるサービスを選ぶことで、安心してオンライン診療を受けることができます。
オンラインで購入したピルで副作用が出たらどうすればいいですか?
オンラインで購入したピルで副作用が出た場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談してください。
オンラインクリニックを利用した場合でも、アフターフォローをしてくれますから、相談窓口を通じて迅速に対応してもらえます。
また、購入したサービスで副作用に関するサポートがあるかを事前に確認しておくと安心です。副作用が強い場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
ピルをオンラインで購入するときは信頼できるクリニックを選ぶことが大事!
ピルは処方箋が必要な薬です。医師の診療を受けなければ、購入はできません。
しかし、婦人科に行くのはハードルが高い、時間もないと悩んでいるなら、オンライン診療を利用しましょう。
今回は、ピルをオンラインで購入する方法や、おすすめのオンラインクリニックをご紹介しました。
生理痛で悩んでいる人や、生理の周期をずらしたい人は、ぜひ受診してみてください。オンラインクリニックは、スマホやパソコンから予約ができて、遠方でも受診できます。
ピルのオンライン購入は、医師の診断のもと、あなたに合ったピルを処方し、自宅まで送ってもらえます。クリニックによっては24時間診療を受け付けているところもあります。
ピルは女性ホルモンを含む薬です。海外通販で個人輸入する人も見受けられますが、自分に合わない薬を使用すると重篤な副作用を引き起こす可能性もあります。
ピルを利用する際は、必ず医師の診療を受けて、適切な薬を処方してもらいましょう。
ピルについて詳しく知りたい方は、ピルの種類や飲み方、購入方法、費用を解説。メリットデメリットは?の記事もご覧ください。