ED(勃起不全・勃起障害)の原因。EDの治療方法と症状を改善させる方法

医学用語としての「ED」は、勃起機能が低下した状態を意味する言葉です。日本語では勃起不全と訳されますが、まったく勃起しないケース以外に、硬さが不十分な場合などもEDに含まれます。
浜松町第一クリニックの調査では、成人男性の2.3人に1人はEDになっているため、じつはEDはまったく珍しい病気ではありません。
つまり男性なら、誰でもEDを発症する可能性を持っているということです。この記事では、EDがどのような原因で起こるのか説明しています。
また、EDに対してどのような治療方法がるのかも紹介していますので、すでにEDの症状が出ている人も、EDにならないか不安を抱えている人も、ぜひ参考にしてみてください。
ED(勃起不全・勃起障害)の原因は4つに大別できる
昔は、EDは歳を取った人がなる病気だと思われていました。あるいは、精神的なものが原因でEDになると考えていた人も少なくないでしょう。たしかに高齢や心の問題もEDの要因の1つにはなりえますが、じつはEDにはそれ以外にもさまざまな原因があります。
ED(勃起不全・勃起障害)の原因は、次の4つに大別可能です。
- 器質性ED(身体機能が要因のED)
- 機能性ED(精神的な要因によるED)
- 薬剤性ED(薬の副作用が要因のED)
- 複合型ED(上記3つから複数の要因が重なったED)
では、EDの原因について、詳しくみていきましょう。
1.器質性ED
器質性EDは、身体機能の低下やある種の病気でおこるEDです。器質性EDは、さらに「血管性ED」「神経性ED」「内分泌性ED」「陰茎性ED」の4つに分けられます。それぞれ区分における具体的な病名は次のとおりです。
区分 | 要因となる病名 |
---|---|
血管性ED | 動脈硬化、糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群など |
神経性ED | 糖尿病、脳卒中、アルツハイマー型認知症、脊髄損傷、椎間板ヘル二ア、パーキンソン病、骨盤内手術、多発性硬化症など |
内分泌性ED | 内分泌疾患(性腺・下垂体・甲状腺など)、男性更年期障害など |
陰茎性ED | 尿道下裂、ペロニー病、陰茎弯曲症など |
では、器質性EDの中の4つの区分について、さらに詳しくみていきましょう。
血管性EDになる割合が高いのは動脈硬化
血管性EDは、なんらかの理由で血流が滞り、「陰茎海綿体」に十分な血液が流れこまないため、勃起しなくなるものです。病気によって血管が細くなったり、詰まったり、血液がドロドロになって流れにくくなったりすると、このタイプのEDになります。
血管性EDの要因としてもっとも多いのは、「動脈硬化」です。
動脈硬化で血管が硬くなると、体が血を流そうとしても血管が広がらないため、十分な血液が流れません。
動脈硬化というと、脳への血液が滞る脳梗塞をよく耳にします。しかし脳梗塞がよく聞かれるのは、発病した結果が命にかかわるためであって、実際は陰茎につながる血管の方が脳への血管よりも詰まりやすさは上です。
なぜなら、生命維持機能としての重要性が高い脳への血管や、心臓まわりの血管はもともと脈が太くなっているため。陰茎の血管よりも太いせいで、なかなか詰まったりしません。
たとえば、頭部につながる「内頚動脈」は直径が5~6mm、心臓に血を送るための「冠動脈」は直径が3~4mmあります。対して「陰茎動脈」は1~2mm程度の太さしかありません。
陰茎動脈は細い血管のため、血管に障害が起こると真っ先に詰まる可能性大。そのため、動脈硬化になると、EDの症状がでることが多くなっています。
勃起機能が落ちていると感じている方は、1度病院で診査してみた方がよいでしょう。じつはそのEDは、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる病気の前触れかもしれません。
血管性EDの治療には、血管を広げたり血流をよくする方法が有効です。そのため、ED治療薬、陰茎海綿体への注射など多くの治療方法を使えます。
神経性EDは脳の指令が伝わらない状態
神経性EDは、神経系になんらかの問題が発生することによって、精神的には興奮しているのに、その興奮が脳から陰茎まで届かないという状態です。
病気によって神経系が切れたり傷ついたりすることで、神経系EDになります。また、事故や病気の手術などによって、神経系にダメージが与えられた場合も同様です。
ほかに椎間板ヘルニアなどによって、神経が圧迫されるだけでも、脳からの指令が陰茎にうまく伝わらず、神経系EDになってしまうことがあります。
神経系EDの場合、通常のED治療薬などでは効果があらわれないケースが少なくありません。神経自体を治さなければ勃起機能が回復しないことが多く、神経系ED専用の特別な治療が求められます。
内分泌性EDはホルモンの問題で起こる
内分泌性EDは、ホルモンの問題で起こるEDです。じつはホルモン異常は、ED全体の中でも割合の大きい要因になっていると言われています。EDに関わるホルモンとして知られているのは、次の4つです。
- A.テストステロン
- B.甲状腺ホルモン
- C.インスリン
- D.プロラクチン
A.テストステロン
「テストステロン」は男性ホルモンの一種で、代表的なものです。テストステロンは、筋肉や骨格の成長に関わっているほか、男性機能にも深く関わっています。テストステロンが少なくなると、性機能が正常に作動しなくなったり、性欲自体が少なくなってしまうため注意が必要です。
テストステロンは精巣で生み出されているため、精巣に障害が起こるとテストステロンの分泌が低下してしまいます。また、続発性性腺機能低下症によって、テストステロンを分泌するように指示する機能が阻害された場合も、十分なテストステロンが産出されません。
B.甲状腺ホルモン
「甲状腺ホルモン」は、血液とともに全身にいきわたり、新陳代謝を活発化する働きをしています。甲状腺ホルモンは、全身の機能に関わっているため、甲状腺ホルモンの量に異常があると、男性機能もうまく働きません。
甲状腺ホルモンが少なくなりすぎる(甲状腺機能低下症)と、テストステロンを作る指示を出すゴナドトロピンの機能が低下します。そうなると、テストステロン量が減少してEDに。ほかにも、心臓の働きが悪くなるため、陰茎海綿体への血液の流れも悪くなってしまいます。
逆に甲状腺ホルモンが多すぎる場合(甲状腺機能亢進症)に、男性機能が活性化するわけではありません。甲状腺ホルモンが増え過ぎると、テストステロンがジヒドロテストステロンに変化してしまうという研究結果があります。
じつは甲状腺ホルモンとEDの因果関係は、完全には解明されていません。しかし、新陳代謝全般に関わるホルモンのため、さまざまな要因からEDにつながると考えられています。
C.インスリン
EDを発症している若者を調べたところ、「インスリン」の抵抗性が高い人の割合が多いという研究結果が出ています。高いインスリン抵抗性は、インスリンの機能異常の1つです。
たとえば同じ量のインスリンがあった場合、抵抗性が高いほど、実際に働くインスリンの力が弱くなります。
インスリン抵抗性が高い場合も、テストステロン分泌が低下し、男性機能が正常に働きません。
D.プロラクチン
「プロラクチン」は、母乳の分泌に大きな関わりがあるホルモンです。ただしプロラクチンは、男性も分泌しています。
このプロラクチンの分泌量が多くなりすぎると、代わりにテストステロンの分泌が減少。その結果として、EDが発症する可能性が高まってしまいます。
陰茎性ED
陰茎性EDは、陰茎そのものになんらかの異常が起こってしまって発症するEDです。事故や病気などによって、陰茎の動脈や神経、陰茎海綿体などの機能が弱まったり、失われてしまうと、勃起機能にも悪影響がもたらされます。
陰茎性EDは陰茎自体に問題があるため、内服薬でのED改善は困難です。陰茎自体の機能を回復させるか、陰茎プロステーシス移植手術で陰茎機能の代用するなどしなければいけません。
2.機能性ED
「機能性ED」は、心の問題によって起こるEDを意味する言葉です。仕事や人間関係のストレスからEDになることもありますし、過去の性行為の失敗がトラウマとなってEDになることもあります。
また、うつ病などの精神疾患によって、EDになるケースも少なくありません。ほかに統合失調症や躁病、アルコール依存症などもEDの原因になりえます。
機能性EDを改善するためには、精神的な問題を解決しなければいけません。
3.薬剤性ED
病気の治療に使っている薬の影響によって起こる男性機能障害が、「薬剤性ED」です。じつはEDと関わりがある薬剤は少なくありません。
たとえば、高血圧の治療に使用されている降圧剤の中には、EDの副作用を持つものが複数あります。
「ヒドロクロロチアジド(降圧利尿薬)」「アテノロール、プロプラノロール(βブロッカー)」「メチルドパ、クロニジン(中枢作用性交感神経抑制薬)」「ニフェジピン(カルシウム拮抗薬)」などにEDの副作用が存在。中でも降圧利尿薬とβブロッカーの利用者のED発症率が高い、とされています。
また、精神疾患の治療に使われている「抗うつ薬」「精神安定剤」「向精神薬」などが原因でEDが発症するケースも少なくありません。
「アモキサン、トフラニールなど(三環系抗うつ薬)」「トレドミン、ミルナシプランなど(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」「パキシル、ジェイゾロフトなど(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」などでもEDの副作用が報告されています。
ほかに「男性ホルモン抑制剤」「抗アンド口ゲン剤」は、テストステロンが抑え込まれるため、勃起機能への影響が少なくありません。
4.複合型ED
「複合型ED(混合型ED)」は、ここまで紹介してきた器質性ED、機能性ED、薬剤性EDの3つのうち2つ以上の要因が相まって起こるEDです。
たとえば、高血圧になると血流の問題でEDが発症しやすくなりますが、高血圧を治療するために降圧剤を使うと、その薬剤によってもEDになりえます。
あるいは、うつ病になると性的興奮も催しにくくなりますが、うつ病の治療薬の中にもEDの副作用がある薬は少なくありません。
また、同じ器質性EDの中でも、いくつかの要因が重なってEDになることもあります。たとえば糖尿病の人などです。
糖尿病は、高いブドウ糖濃度で血管を傷つけるため、血管性EDの可能性が上がります。さらに、糖尿病性末梢神経障害という形で神経系へのダメージも少なくありません。
このように関係性の深い原因だけでなく、職場でのストレスによる心因性EDと、高齢によって高血圧になった結果としての血管性EDが重なる、といったタイプの複合型EDも存在します。
単一の原因で起きたEDの場合は、それに対応する治療をおこなえばよいのですが、複合型EDの場合は、一方向からの治療では、根治できない可能性が高いため注意が必要です。
現在のEDは内服薬による治療が一般的
昔はEDの治療と言えば、陰茎の手術や陰茎への注射といった大変なものしかありませんでした。しかし、1998年にED治療薬として「バイアグラ」が販売されるようになってから、状況は一変します。手間がかからずEDの症状の改善効果を見込めるため、今ではEDの治療には内服薬を使うのが一般的です。
ただし、体質によってはED治療薬の効果が出にくい人も存在します。これまでの結果では、ED治療薬を使っても20%程度の人は、性交に十分な陰茎の硬さにまでEDが改善されません。そういった人は、陰圧式勃起補助具や、陰茎海綿体への注射といったほかの治療方法を選ぶ必要があります。
おすすめのクリニックは安全なバイアグラ通販を紹介。市販はNGな理由とおすすめクリニックの記事で紹介しています。
ED治療薬の種類
日本で承認されているED治療薬は、以下の3つだけです。ただし、3つとも特許は満了しているため、それぞれのジェネリックとして販売されているED治療薬は少なくありません。
- シルデナフィル(バイアグラ)
- バルデナフィル(レビトラ)
- タダラフィル(シアリス)
このほか海外では、「アバナフィル(ステンドラ)」「ウデナフィル(ザイデナ)」「ミロデナフィル(エムヴィックス)」「ロデナフィル(ヘレバ)」というED治療薬も販売されています。
ただし、病院を通さずにED治療薬を個人輸入したり個人輸入代行者を使ったりして、入手するのはおすすめできません。
ファイザー株式会社、バイエル薬品株式会社、日本新薬株式会社、日本イーライリリー株式会社の4社が偽造ED治療薬の調査をしたところ、次のような結果が出ているからです。
このように、自分でED治療薬を手に入れようとすると高確率で偽物を掴まされてしまうため、担当医に相談して、正規ルートでED治療薬を入手してください。
承認済みED治療薬3種の特徴
日本で認められている3種類のED治療薬は、それぞれ次のような特徴を持っています。
バイアグラ | レビトラ | シアリス | |
---|---|---|---|
含量 | 25mg/50mg | 5mg/10mg/20mg | 5mg/10mg/20mg |
作用時間 | 3時間(25mg)/4~5時間(50mg) | 3時間(5mg)/4~5時間(10mg)/7~8時間(20mg) | 8時間(5mg)/20~24時間(10mg)/30~36時間(20mg) |
効力 | 弱い/普通 | 弱い/普通/強い | 弱い/弱い/少し弱め |
効果が出るまで | 40~60分(量に関わらず共通) | 20~40分(量に関わらず共通) | 1~3時間(量に関わらず共通) |
食事の影響 | 受ける | 受けにくい | かなり受けにくい |
副作用 | 出にくい/出やすい | 出にくい/出やすい/出やすい | 出にくい(量に関わらず共通) |
「バイアグラ」は効力と効果開始時間、副作用などの性能が3つのED治療薬の中間あたりです。ただし、食事の影響をもっとも受けてしまいます。服用したED治療薬は腸から吸収されるのですが、食後で腸に脂の膜が張っていると、油分に弾かれて十分に成分が吸収されません。
「レビトラ」は、もっとも早く効果があらわれます。作用時間や効力の強さなどはバイアグラと同程度です。ただしレビトラ錠は発売元のバイエル薬品が販売停止しているため、国内では流通していません。そのため、国内で使用可能なのはレビトラのジェネリック薬品です。
「シアリス」は、作用時間がもっとも長く、副作用も出にくく、さらに食事の影響も最小となっています。しかし、効力自体はもっとも弱く、効果が出るまでには長い待ち時間が必要です。
ED治療薬を服用できない人もいる
ED治療薬は便利ですが、服用できない人も存在します。まず、ED治療薬にはそれぞれ併用が禁止されている薬剤があるため、それらの薬を服用している人は、ED治療薬を利用できません。
ED治療薬 | 併用禁忌 |
---|---|
バイアグラ | 塩酸アミオダロン製剤 硝酸剤 慢性血栓塞栓性肺高血圧症治療薬 |
レビトラ | 硝酸剤 抗ウイルス薬(HIV治療薬) 内服の抗真菌薬 抗不整脈薬 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 |
シアリス | 硝酸剤 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 |
ED治療薬は、陰茎の血管を拡張して血流をよくする作用があるため、血管に作用する薬などを併用すると副作用が起こって危険です。
そのほか次のような条件を満たす人も、ED治療薬を服用できません。
- ED治療薬の成分に対して過敏症が発症したことがある人
- 心血管系障害があったりして性行為自体が危険な人
- 肝機能に重度の障害がある人
- 低血圧の人(最大血圧90mmHg未満か最小血圧が50mmHg未満)
- 医師に管理されていない高血圧の人(安静時収縮期血圧170mmHg以上か最小血圧が100mmHg以上)
- 6カ月以内に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞になった人
- 網膜色質変性症と診断された人
- 未成年者
上記のような状況を隠してED治療薬を使ってしまうと、最悪の場合、命を落とす危険性もあります。そのため、ED治療薬を使えない条件を満たしてしまっているなら、大人しく別の治療方法でEDに対処してください。
ED治療薬の副作用
ED治療薬には、次のような副作用があります。
- 顔のほてり
- 目の充血
- 頭痛
- 動悸
- 鼻詰まり
- 眩しさを感じる
- 筋肉痛
- めまい
- 消化不良
普通は上記のような副作用は軽度から中度ぐらいで、重篤な障害があらわれる可能性は高くありません。また、多くの場合、ED治療薬の効果が切れてから5時間程度経過すると、副作用も収まっていきます。
ほかにED治療薬が「非動脈炎性前部虚血性視神経症」や「突発性難聴」の要因になっているという意見もありますが、因果関係は証明されていません。
ED治療法は内服薬以外にもさまざまなものがある
現在のEDは、患者の負担が少ない内服薬によって治療するのが普通です。ただし、内服薬で症状が改善されなかったり、ED治療薬を服用できなかったりする場合は、手術などで治療しなくてはいけません。内服薬以外のおもなEDの治療方法は次のとおりです。
- 陰茎プロステーシス
- 陰茎海綿体への注射
- 陰圧式勃起補助具
- 衝撃波
では、ED治療方法について、詳しくみていきましょう。
陰茎プロステーシス移植手術は最後の手段
「陰茎プロステーシス移植手術」とは、陰茎海綿体内にプロステーシスという器具を移植するものです。移植した器具の働きにより、勃起状態になれます。
陰茎プロステーシスでは、器具を入れるために陰茎の海綿体平滑筋を破壊しなければいけません。
そのため、1度陰茎プロステーシス手術をおこなうと、元に戻すのは不可能です。つまり、ほかのED治療法を試して効果がない時に、最後におこなう治療方法が陰茎プロステーシスとなります。
陰茎プロステーシス移植手術は、これまでに30万人以上に実施済み。そして患者の90%が満足したというデータが出ています。
プロステーシスの種類
陰茎に入れるプロステーシスは、「ノンインフレータブルタイプ」と「インフレータブルタイプ」の2種類。ノンインフレータブルは棒状の器具で、曲げ伸ばしをして平常時と勃起時を使い分けます。
ノンインフレータブルタイプは、折り曲げ可能な棒を入れるため、性交時以外も常に陰茎が硬い状態になるのが特徴です。
ノンインフレータブルのメリットは、操作が簡単なこと。本人でもパートナーでも、手軽に棒を伸ばして勃起状態を作ることが可能です。また、構造がシンプルなため、インフレータブルと比べて値段が安いという利点もあります。さらに手術もシンプルなため、局所麻酔をしての日帰り手術が可能です。
デメリットは、非使用時にも常に硬い状態になってしまう点。折り曲げて隠すことはできますが、気になってしまうかもしれません。また、ひんぱんに膀胱鏡検査をおこなう場合、器具が邪魔になってしまいます。
インフレータブルタイプは、内部に水(無菌食塩水)が入った器具です。水を貯める「リザバー(タンク)」を腹部に、水流を操作する「ポンプ」を陰嚢に、勃起状態にする「シリンダー」をペニスに移植します。
インフレータブルは、水の入った風船のようなものなので、通常時には柔らか。性交時には、ポンプをしぼって水をシリンダーに送り、勃起状態にします。
インフレータブルのメリットは、自然な勃起ができることと、ふだんは柔らかくなっているところです。
デメリットは、勃起をさせる操作が少し難しい点。病気や高齢などで手先の動きが悪くなっていると、うまく勃起状態にできません。また、水が漏出するリスクが存在します。さらに、移植には全身麻酔をしての手術が必要です。
プロステーシスのメリットとデメリット
プロステーシスのメリットは、次の通りです。
- 性生活が改善される
- EDが長期的に解決される
- いつでも勃起できるようになる
- 勃起状態を長時間維持できる
- ED治療薬の服用がいらなくなる
- 射精やオーガズムの邪魔にならない
- 80代のような高齢でも利用できる
一方、プロステーシスのデメリットは、次のようになっています。
- 手術とそれに伴う治療期間が必要になる
- 海綿体平滑筋が壊れるため、以後自然なED回復の道が絶たれる
- 感染・びらん・器具の故障が起こると再手術が必要になる
- 糖尿病コントロール不良例では感染リスクが大きくなる
- 手術に保険が適用されない(日帰り手術でも80~100万円程度かかる)
- すでに射精機能が失われている場合、プロステーシスでは回復しない
- 器具の経年劣化で問題が起こるリスクがある
- 化膿や感染合併症のリスクがある
陰茎プロステーシス手術は、EDの最終的な解決方法になりえますが、デメリットも少なくありません。利用する際は、担当医とよく相談してから実行することをおすすめします。
陰茎海綿体への注射は厚生労働省に認可されていない
ED治療方法には、「陰茎海綿体への注射」というものもあります。陰茎海綿体へ「プロスタグランジンE1」を注射すると、10分ぐらいで勃起状態に。勃起は30分程度持続します。
以前はパパベリンという薬剤が使われていましたが、副作用が多かったため、現在使われているのはプロスタグランジンです。
プロスタグランジンは元々、血行再建や慢性動脈閉塞症などに使われていました。それを陰茎海綿体への注射薬として使い始めたのは東邦大学の石井教授です。
プロスタグランジンの陰茎海綿体への注射は、ED治療効果が高く、副作用は少ないとして、世界80カ国2自治領で認可されています。
しかし実は、発祥元の日本では、プロスタグランジンはいまだ認可されていません。そのため、陰茎海綿体への注射は、自主研究という形で実施されています。注射のもたらす影響については、すべて医師と患者の自己責任です。
陰茎海綿体への注射は、最初におこなうべき治療方法ではありません。ED治療薬や陰圧式勃起補助具の効果がなかったり、利用できなかった場合におこなう治療方法です。
プロスタグランジン注射では、患者の80%程度が性交可能な硬さの勃起ができるようになるとされています。プロスタグランジン注射でも、十分な勃起ができない場合は、陰茎プロステーシス移植手術をおこなわなければいけません。
陰茎海綿体への注射はEDの原因を調べるためにも利用されている
プロスタグランジンは、血管平滑筋を弛緩させ、動脈から海綿体への血流を増加させます。その結果、勃起状態に。プロスタグランジン注射は、陰茎の血管が正常に作用していれば、効果を期待できます。
逆にプロスタグランジン注射でも勃起しない場合は、血管に問題があるEDを疑わなければいけません。そのため、プロスタグランジン注射は、EDの原因を探るスクリーニングの手段としても使用されています。
通常のプロスタグランジン注射は認可されていないため、保険が適用されません。しかし、ED検査のために使う場合は、保険が適用されます。
プロスタグランジン注射の注意点
プロスタグランジン注射は、注射後すぐに効果があり、短時間で勃起効果が切れてしまいます。そのため、性交の前に医者に注射してもらう、というわけにはいきません。そのため、自分で注射できるようになる必要があります。
もちろん、最初に医師の指導を受け自己注射をするのですが、素人の注射のため、問題が起こるリスクも少なくありません。注射失敗によって、血管や神経を痛めてしまったり、深く針を入れすぎて、陰茎海綿体ではなく、尿道海綿体へ薬剤を注入してしまったりする危険性があります。
また、プロスタグランジン注射は、長期間使い続けると、効果が減弱されるという問題も。そのため、プロスタグランジン注射は、EDの根本的な解決方法にはなりません。さらに使い続けている間は、注射器と薬剤などの費用として、毎回5,000~6,000円程度かかってしまいます。
ほかには、利用者が多い海外の報告では、プロスタグランジン注射をした患者の6%程度で「持続ボッキ症」が発症するというリスクも。持続ボッキ症とは、硬い勃起が4時間連続する病気です。
持続ボッキ症になると、普通、陰茎に痛みがあります。放置すると陰茎海綿体組織が破壊されるため、緊急で処置をしなければいけません。
処置としては、病院で海綿体の血液を吸引し、血管収縮剤を注入して勃起を止めます。これでも勃起が収まらなければ、陰茎をメスで切開し、血を抜かなければいけません。
このように副作用のリスクがあるため、プロスタグランジンを個人輸入して、勝手に注射をしたりするのは非常に危険です。必ず薬剤の調整や副作用のチェックができる、専門家の指示にしたがって使用するようにしてください。
陰圧式勃起補助具は即効性があるが利用時間が限られる
「陰圧式勃起補助具」を使って、強制的に勃起させる方法も存在します。陰圧式勃起補助具は、シリンダーの中にペニスを入れて使用。ペニスが入った状態のシリンダーから空気を抜き、内部の気圧を外部より低くします(陰圧)。そうすると、陰茎海綿体へ血液が流れて勃起状態に。
ただし、そのままシリンダーからペニスを抜いてしまうと、血液が逆流して勃起が解除されてしまいます。そのため、性交時には、陰茎の根本にゴムリングを巻き付け、血液をとどめておかなければいきません。
ゴムリングによる束縛で血液が陰茎内にとどまるため、陰茎が冷えやすく、パートナーに不快感を抱かせることがあります。
なお、日本で認可されている陰圧式勃起補助具は、Vigor(ビガー)2020という製品のみです。そのため、ビガー以外の陰圧式勃起補助具は、通常は購入できません。
陰圧式勃起補助具はED治療薬と併用できる
陰圧式勃起補助具は、ED治療薬と併用可能です。ED治療薬だけでは、性交に十分な硬さを得られない場合でも、陰圧式勃起補助具を使えば、問題なく性生活を送れます。
さらにEDの原因に陰茎の低酸素状態がある場合は、陰圧式勃起補助具を繰り返し使うことで、低酸素状態の改善効果も期待可能です。さらに使い続けることにより、陰茎がより硬くなる効果も。こういった効果が出るまでには、2カ月程度かかるとされています。
陰圧式勃起補助具のメリットとデメリット
陰圧式勃起補助具のメリットは次のとおり。
- 補助具を使用してすぐに勃起できる
- 任意のタイミングで勃起させられる
- 操作が簡単で使いやすい
- 故障しづらく長持ちする
- 海綿体がストレッチされて陰茎の機能改善が期待できる
デメリットとしては、次のようなものがあります。
- 痛みや腫れなどの副作用があらわれることがある
- 勃起を30分しか維持できない
- 使用時は陰茎が冷えやすい
- 使用者は性交時に満足感を得にくい
陰圧式勃起補助具の吸引は、1日に15分以内と決められています。また、勃起を維持するためのゴムリングは30分以内に外さなくてはいけません。
吸引にしろゴムリングにしろ、長時間使いすぎると、陰茎などに悪影響があらわれる危険性があります。実際、海外では陰圧式勃起補助具を付けたまま眠ってしまって、皮膚壊死してしまって事例あり。
ほかに皮下出血や、射精障害なども起こり得るため、決められた利用時間を守らなくてはいけません。
衝撃波で陰茎の血管を活性化できる
尿路結石や胆石の治療方法として、「衝撃波」が使われています。そしてこの衝撃波は、結石などを破壊するだけでなく、血管を刺激することで血管を活性化させる働きがあることが判明しました。
実際、この衝撃波による「血管新生作用」は、関節などの病気を治すために使われることも少なくありません。
勃起は、陰茎海綿体に血液が流れ込むことでおこなわれます。そのため、衝撃波によって血管の状態が改善されれば、EDの症状の改善も期待できるわけです。
衝撃波の施術には1回15~30分程度しかかかりません。副作用の報告もほとんどなく、治療後は普通に生活できます。
衝撃波の問題点
衝撃波には、次のような問題点も存在します。
- 衝撃波は血管に作用するもののため原則として効果があるのは血管性EDのみ
- 衝撃波によるED治療は認可されていないため保険が適用されない
- 抗凝固剤や抗血小板剤を服用している場合は利用できない
- 心筋梗塞や不整脈の人は利用できない
- ペースメーカー利用者は衝撃波は使えない
- 血栓症の人は利用できない
- 重い心疾患がある人は利用できない
- 悪性腫瘍がある人は利用できない
衝撃波によるED改善効果を期待するなら、6回程度の施術が必要です。自費治療のため、施術完了までに数十万円かかります。
ED改善の為の日常生活でのケア
EDの治療方法はたくさんありますが、そういった治療をおこなえばそれでいい、といったものではありません。ED治療薬や陰茎海綿体への注射でEDに対処しても、ランニングコストがかかり続けてしまいます。
そのため、ED治療薬を使っている場合でも、日常生活でEDが改善するようにセルフケアをおこなっていかなくてはいけません。EDに役立つセルフケアとしては次のようなものがあります。
- ストレスを貯めないようにする
- 肥満体型にならないようにする
- 適度な運動をする
- タバコを吸わない
- 股間を圧迫する動作や作業を控える
- 食事のバランスに気をつける
- 飲酒を控える
- よく眠る
では、EDを改善するための心がけについて、詳しくみていきましょう。
ストレスを貯めないようにする
仕事にしろ人間関係にしろ、ストレスを抱えていると、心因性EDになるリスクが高まってしまいます。逆に言えば、心因性EDになった場合は、ストレス解消によって症状の改善が期待できるということです。
ストレス解消にはさまざまな手段がありますが、ED改善に役立つストレス解消方法と、EDを悪化させかねないストレス解消方法があります。
たとえばスポーツや睡眠によるストレス解消は、それ自体がED改善につながるためおすすめです。逆に暴飲暴食や喫煙でストレス解消しようとすると、ストレスとは別の要因でEDが悪化しかねません。
映像、音楽、ゲームといったエンタメでのストレス解消や、買い物やおしゃべりによるストレス解消は、それ自体にED改善効果はありません。しかし、ストレス解消による心因性EDの改善効果は期待できます。
パートナーとの関係がストレスを生んでいる場合も
実はパートナーとの関係がストレスを生み、そのストレスが心因性EDにつながっているケースも少なくありません。たとえば、パートナーが子供を欲していたり、パートナーの性交における期待に答えようと無理をしていたり、といったパターンが考えられます。
実際に、EDが改善した人に何をしてED改善したか聞いたアンケートでは、「EDについてパートナーに相談したから」「パートナーと何でも相談できる関係になったから」といった回答が。また、パートナー変更によってEDが改善したという報告もありました。
パートナーがいる場合は、一人で悩まず相談してみると、EDが改善するかもしれません。
肥満体型にならないようにする
過去のデータによると、肥満とEDには一定の関連性があります。そのため、ダイエットで体重を減らせば、ED改善効果を期待できます。
また、肥満体型になるような生活をしていると、糖尿病や高血圧といった生活習慣病になる危険性が大。糖尿病や高血圧はEDの原因になりえるため、生活習慣病を予防するためにも、ダイエットして規則正しい生活をすることが重要です。
適度な運動をする
適度な運動は、EDの改善に役立つというデータがあります。特にジョギングや水泳などの有酸素運動がED改善に役立ったという意見が少なくありません。
運動は、「ストレス解消」「肥満改善」「生活習慣病予防」と、ED改善に役立つさまざまな要因に関わっています。そのため、ED改善のために何か1つだけおこなうなら、運動がおすすめです。週2回以上の運動でEDのリスクを下げることがわかります。
回答者 | EDではない | 軽度ED | 中等度ED | 重度ED | 中等度ED+重度ED | |
---|---|---|---|---|---|---|
全くしてない | 695 (100%) | 413 (59.4%) | 142 (20.4%) | 91 (13.1%) | 49 (7.1%) | 140 (20.1%) |
月1回未満 | 222 (100%) | 141 (63.5%) | 45 (20.3%) | 31 (13.96%) | 5 (2.3%) | 36 (16.2%) |
月1~2回 | 210 (100%) | 132 (62.9%) | 47 (22.4%) | 25 (11.9%) | 6 (2.9%) | 31 (14.8%) |
週1回 | 342 (100%) | 208 (60.8%) | 78 (22.8%) | 38 (11.1%) | 18 (5.3%) | 56 (16.4%) |
週2回以上 | 531 (100%) | 366 (68.9%) | 96 (18.1%) | 45 (8.5%) | 24 (4.5%) | 69 (13.0%) |
参照:浜松町第一クリニック
タバコを吸わない
タバコを吸うと、血管が収縮します。このタバコの作用は、血管に与えるダメージが少なくありません。そのため、喫煙すればEDリスクが高まりますし、喫煙者が禁煙すれば、ED改善効果が期待できます。
特に若者のEDや軽度のEDに対して、禁煙は効果が高いようです。タバコはED以外にも、脳卒中などの循環器疾患や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患、歯周病などさまざまな病気の原因になるため、ED改善に合わせて禁煙を試してみてはどうでしょうか。
股間を圧迫する動作や作業を控える
股間を圧迫する動作や作業を繰り返していると、陰茎内の神経や血管を傷つけてしまう危険性があります。神経や血管にダメージがあれば、勃起機能の低下は避けられません。
よく言われているのが、サイクリングによって、股間がサドルに圧迫され、勃起機能に悪影響があるという説です。ただし、会社への行き帰りに短時間自転車に乗る程度では、大きな影響はないと思われます。
もしも毎日2時間以上自転車の乗っているような人がEDになったら、股間の圧迫が原因でないか疑ってみたほうがよいでしょう。
自転車以外でも、長時間にわたって股間を圧迫する作業などをしているなら、股間への圧迫を防げないか試してみてください。
食事のバランスに気をつける
バランスの良い食生活も、ED改善に重要な要素です。まず糖分や脂質の多い高カロリー食を続けていると、太ってしまいますし、生活習慣病にもつながります。また、塩分を取りすぎると高血圧などになりやすく、血管性EDになる危険性が少なくありません。
逆にED改善に効果を期待できるのは、次のような成分です。
- 亜鉛
- シトルリン
- DHA・EPA
- アルギニン
- ビタミンE
- アリシン
- タウリン
では、ED改善効果を期待できる食材について、詳しくみていきましょう。
亜鉛
「亜鉛」には、男性ホルモンの主要成分であるテストステロンの分泌をうながす作用あり。テストステロンの減少はEDの要因になりえるため、亜鉛の摂取はED改善に効果が期待できます。
亜鉛が多く含まれる食材は、「牡蠣」「煮干し」「レバー」「アーモンド」「卵黄」などです。亜鉛はビタミンCといっしょに接種すると、吸収率が高まる性質があります。そのため、レモンやほうれん草などのビタミンCを多く含む食材と料理するのがよいでしょう。
シトルリン
「シトルリン」は、陰茎の血管を広げるのに必要な物質の生成をうながす働きがあります。血管性EDの原因には、陰茎の血流の滞りがあるため、シトルリン摂取の影響は少なくありません。実際に軽度のED患者にシトルリンを摂ってもらったところ、半数の患者にED改善が見られたという研究結果もあります。
シトルリンを多く含むのは、スイカ、メロン、きゅうり、ヘチマ、ゴーヤなどのウリ科の植物です。使いやすいきゅうりや、栄養豊富なゴーヤなどを料理に積極的に使っていきましょう。
DHA・EPA
「DHA・EPA」の働きには、血流をよくすることと、中性脂肪を下げるものがあります。そのため、DHA・EPAを接種すると、血流改善と肥満改善に効果が期待できます。
DHA・EPAを多く含む食材は、イワシ、サンマ、サバといった青魚です。魚介類は、そのほかにもED改善に効果が期待できる成分を多く含んでいるので、積極的に食べるようにしましょう。
アルギニン
「アルギニン」は、血行促進や免疫力向上に役立っている成分です。アルギニンは、豚肉のゼラチンやアーモンド、マグロ、カツオ、エビ、落花生などに多く含まれています。
ビタミンE
「ビタミンE」は、血行促進と男性更年期障害改善、生殖機能改善に効果が期待できる成分です。ビタミンEは、アボカド、イワシ、うなぎ、モロヘイヤ、アーモンドなどに多く含まれています。
ビタミンEは油に溶けやすい性質があるため、油を使って料理するのがよいでしょう。
アリシン
「アリシン」は、血流改善、疲労回復に効果が期待できる成分です。アリシンは、ニンニク、ニラ、長ネギ、玉ねぎなどに含まれています。
アリシンは油との相性が良いため、ニンニクやネギなどを炒めて使う料理が有効です。また、亜鉛が多いレバーと、アリシンが多いニラを使ったレバニラなら、1度に多くの有効成分を摂取できます。
タウリン
「タウリン」は、血流改善、疲労回復、肥満改善の効果が期待できる成分です。タウリンは、サンマ、カツオ、タコ、イカ、牡蠣、ホタテなどに多く含まれています。
同じ食材ばかり使うのは、栄養が偏ってしまうために逆効果です。しかし、魚介類中心の食生活にすれば、さまざまな成分により、ED改善に効果を期待できます。
飲酒を控える
飲酒を減らしたら、EDが改善したと言っている人が多くいます。実際にデータでは、まったくお酒をのまないグループと毎日飲酒するグループでは、ED発症率の差が少なくありません。
ある調査では、お酒を飲まないグループのED発症率が42%であるのに対して、毎日飲酒するグループのED発症率は57.3%にまで上昇しています。
ED改善のために飲酒を控えると言っても、完全にお酒を断つ必要はありません。お酒を飲まない日を作るだけでも、一定の効果は期待できます。
よく眠る
睡眠時間が増えたらEDが改善した、と言っている人も少なくありません。睡眠時間が短すぎるために疲労が回復していないのか、ストレスが溜まっているのか、理由は定かではありませんが、睡眠不足でEDになっている人も存在することはデータにあらわれています。
ある程度の年齢になると、責任ある地位につくことが多いため、睡眠時間を削って仕事をするケースが少なくありません。その睡眠不足でEDになっているのを、加齢でEDになったと勘違いしている人も存在するでしょう。
そのため、睡眠時間を増やすだけで、EDが改善されることもありえます。ただし、寝る時間が長くなり過ぎると、逆にEDが悪化することも。ED改善に最適な睡眠時間は年齢ごとに異なります。40~59歳で7時間程度、60~79歳で6時間程度が最適な睡眠時間というデータが出ています。
EDの原因はさまざまで有効な治療方法も異なる
EDには、陰茎を含む体の機能自体に問題がある「器質性ED」と、心の問題で勃起しない「機能性ED」、そして病気治療に使っている薬の影響で起こる「薬剤性ED」の3つがあります。また、3つのED原因のいくつかが重なってEDが発症することも少なくありません。そういったEDは、「複合型ED」「混合型ED」などと呼ばれています。
今は、EDの治療は内服薬でおこなうのが普通です。
「ED治療薬」なら手術などは不要で、大きな費用もかかりません。しかしED治療薬が効果がなかったり、ほかの病気を発症していてED治療薬を使えない人もいます。
そういった人は、「陰圧式勃起補助具」で強制的に勃起させたり、陰茎海綿体に注射して勃起させたり、陰茎にプロステーシスを移植して勃起できるようにしたりしなければいけません。