再生医療とは
再生医療とは、自分自身の幹細胞を使って失われてしまった機能を改善させる治療です。幹細胞の人間が本来持っている回復する能力を利用した治療方法です。怪我や病気、もしくは生まれつき損なわれていた細胞や組織、器官、遺伝子の働きを正常な状態に再生させることを目指します。
主に培養、増殖させた幹細胞を体内に移植することで、機能的・器質的に悪くなった臓器や組織の改善や修復を行います。現在では、ES細胞やiPS細胞、遺伝子改変技術を駆使し、これまで治療が困難だった病状にも対応できるようになってきました。今後、研究が進むとアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経編成疾患や、事故などによる脊髄損傷のほか、心筋梗塞や心筋症などの心疾患、緑内障や黄斑変性などの眼科疾患など幅広い領域の疾患で根治治療が可能になると考えられています。
再生医療の歴史
再生医療は京都大学iPS細胞の研究所の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞した2012年頃から一般の方々にも認知が高まり、注目を集めたのではないかと思います。細胞を用いた再生医療は血液細胞を用いた治療から始まりました。1970年代からは白血病などの難治性骨髄性疾患に対して、造血幹細胞を患者さんに輸注する治療方法が確立。現在の骨髄バンクや体性幹細胞を用いた再生医療につながっています。またシート状の組織を構築した上で体に細胞を注入するなど、人の体に適応するための技術も開発されました。
1993年頃には「ティッシュエンジニアリング」という工学と生命科学の融合によって、人工材料と細胞・生理活性物質を組み合わせる技術の研究が行われるようになっていきました。この技術では生体機能に変わる製品を作製することができるようになりました。1990年代後半には体細胞よりも分化能力が高い細胞を用いる研究が進み、1998年にヒトES細胞を樹立。ES細胞を用いた研究が盛んになりました。
ES細胞は受精卵を破壊し作製するため、倫理面での問題が指摘され、ヒトの受精卵を用いることのないiPS細胞の活用が検討されるようになりました。現在では、ES細胞も含め、体性幹細胞、iPS細胞など様々な細胞を用いた研究が行われています。
体の中の細胞の動きについて
私たち人間の体では、毎日細胞が作られ、死滅しています。その恒常性維持機能によって毎日細胞が入れ替わっているのです。死滅した細胞の再生に不可欠なのが幹細胞です。幹細胞は身体の修復や再生が必要なときにも、自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなります。
その幹細胞は分裂して同じ細胞を作る能力を持った「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられます。組織幹細胞の中でも間葉系幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などの組織に存在する体性幹細胞の一種で、さまざまな細胞への分化が可能。腫瘍化のリスクは低いと言われています。現在は、脊髄損傷や造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病の治療用として承認されている再生医療等製品もあります。
当院では患者様ご自身の体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養し、幹部に注射することで組織の回復を図るASC治療を採用しています。脂肪由来幹細胞(Adipose-derived Stem Cell)を用いた再生医療の一種で、発がん性のリスクが少ないことやご自身から接種したものなので副作用が少なく体への負担も少ないのが特徴です。
このほか血液の血小板を使ったPRP療法やエクソソーム点滴など、症状によって治療法を組み合わせることもあります。
⾻髄由来
神経再⽣能⼒が⾼く、脳卒中・脊髄損傷など⾎液疾患の治療に適しています。
脂肪由来
腹部などから少量の脂肪組織を採取します。少量で大丈夫なので、採取時の体の負担は少なくすみます。また脂肪由来の幹細胞の含有量は⾻髄由来に⽐べて500 倍と⾮常に多く、増殖⼒も強いのが特徴です。臓器修復に有効な成⻑因⼦の種類が多いことから、現在は再⽣医療の主流として多数のクリニックで様々な治療法に活⽤されています。
臍帯由来
臍帯とはへその緒のことです。臍帯を流れる⾎液を通じて⾚ちゃんは⺟体から栄養や酸素などを受け取ります。
乳⻭髄由来
⼦供の乳⻭から採取した幹細胞のことで、優れた増殖⼒や最も強い再⽣⼒を持つ幹細胞と⾔われています。
脂肪幹細胞を使った治療の特徴
脂肪幹細胞は神経、脂肪、筋肉、骨、軟骨など他の内臓組織に分化する機能を持っています。そのため様々な細胞を修復することができる可能性を期待されています。ただし、現在も研究段階にある新しい方法なので、安全性や治療効果を保障する十分な科学的根拠が得られていないものもあります。医師からの説明や、期待される効果、副作用についてしっかりと説明を聞いた上で治療を同意、進めていきましょう。
期待できる効果
- 痛みを軽減させる
- 炎症を抑える
- 軟骨などの組織を修復する
- 人工関節などの手術を回避、もしくは延期できる可能性がある
- 体全体の若返りや疾病予防
具体的に対応できる疾患
- 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)
- 脊髄損傷
- 神経後遺症
- 脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア
- 慢性疼痛
- 肝疾患
- 糖尿病
- 認知症
- 肺疾患
- 心疾患
- リウマチ
- アトピー性皮膚炎
- スポーツなどにより損傷した靭帯や筋肉、ひざや関節
メリット
患者様本人の細胞を用いるので、薬物治療のような副作用が少ないです。細胞採取のときにも大きな傷をつける必要がないので、出血や感染、痛みのリスクが少なく済みます。体に負担の小さい低侵襲治療でありながら、リウマチや脊柱管狭窄症など様々な障害や疾患に対して効果が期待できます。
デメリット
先端医療のためまだまだ研究段階のものもあります。そのため十分な効果を得られない場合もあります。
表参道総合医療クリニックのこだわり
当クリニックは、厚生労働省に再生医療等治療計画を受理された再生医療等提供医療機関です。
また当院は国内で唯一、腰痛の手術と再生医療を組み合わせた手法で治療を行っています。このほか、安心してご利用いただくために様々な配慮をしています。
表参道総合医療クリニックの再生医療が選ばれる理由
- 独自の外科技術と最新の培養技術
「脳神経外科医の外科技術」×「点滴による幹細胞2億個投与」 - 豊富な治療実績、幹細胞の質
- 安⼼して治療に臨んでいただける「患者さまにあわせたフルオーダーメイドの治療」
再⽣医療は、熟練した専門医(名医)の外科技術と幹細胞の質(培養⽅法)でお選びください
選ばれる理由①『幹細胞の効果をあげる当院独自の投与方法が可能』
通常は点滴で幹細胞投与が多いが、当院は豊富な外科技術を活用し培養した幹細胞を患者様の症状にあわせて点滴投与、髄腔内投与、椎間板内(局所)投与します。
脊椎内視鏡手術との併用が可能
再生医療と脊柱内視鏡手術と組み合わせた治療を国内で唯一行っている医院です。この治療法は院長の田中が臨床経験を重ねていく中で「圧迫されたり傷ついたりした箇所を楽にすることも大切だが、それを修復することも効率よく一緒にやっていくべきではないか」と思いたどり着いた治療法。症状改善だけでなく、術後の回復も患者様に寄り添って考えていきたいという思いが、現在の治療スタイルを生み出しました。
髄腔内投与も可能
表参道総合医療クリニックでは、背骨の中にある脊髄の通り道である髄腔にも薬剤を投与すること(髄腔内投与)が可能です。そのため脳脊髄液を介して直接、脳神経組織へ幹細胞を送ることができます。また脊椎損傷などでも直接幹細胞を注入することができます。
椎間板内投与も可能
脊椎幹細胞移植(SAST)は、椎間板や頚椎、腰椎に対して幹細胞を移植する新しい治療法です。幹細胞を用いた細胞治療では移植細胞の栄養作用による組織再生効果が報告されており、自分自身にある幹細胞を使って、組織や臓器を元通りの機能や形に戻す治療です。自己脂肪由来幹細胞が免疫抑制因子や抗炎症因子を分泌する機能を持つことを利用し、損傷した椎間板や脊椎の再生や修復を促し腰痛の改善を図る治療法です。
選ばれる理由②『国内トップクラスのCPC(細胞培養加工室)と連携』
自己脂肪由来幹細胞治療を行うには、培養技術がとても重要です。ポイントは2つあります。
①幹細胞の生存率
培養した幹細胞は生きているものを投与しないと意味がありません。生存率が高いほど、身体に定着しやすくなります。
②幹細胞の大きさ選定
ただ幹細胞を増やすだけではなく、血管の中をスムーズに動ける大きさのものを選定する必要があります。当院では、この①②を満たす国内でもトップクラスの技術力を持つCPC(細胞加工施設)で加工を行います。高い技術を持つCPCと連携を取ることによって、高水準の幹細胞治療を提供することが出来ます。
選ばれる理由③『点滴による幹細胞治療の効果を最⼤化が可能』
幹細胞の点滴治療で投与量の2億個を実現し効果を最⼤化へと導きます。
幹細胞は、投与数が多いほど治療効果を期待できます。当院では厚生労働省への届出を経て2億個の投与を実現し幹細胞治療の効果を最⼤に可能です。
治療後のリハビリプログラムも提供
EECPやGTESなどリハビリ施設も入っています。痛みや損傷の源に働きかける幹細胞治療に「リハビリ」をプラスすることで、一度は衰えた筋力をトレーニングし、回復を目指します。治療から一貫した流れで、患者様に合わせたより効果の高いプログラムをご提案します。
選ばれる理由④『治療効果を上げる!先端技術とオリジナル独自投与技術』
豊富な臨床経験に基づいた幹細胞投与方法と治療スケジュールを行っております。当院では様々な投与方法があるので症状にあわせて点滴投与、髄腔内投与、椎間板内(局所)投与を行う事が可能です。また再生医療とリハビリによる脳卒中後遺症や関節疾患の改善を実現可能であり専門医の診断データに基づき、EECPやGTES等の最適なリハビリプランを提供します。痛みや損傷の源に働きかける幹細胞治療に「リハビリ」をプラスすることで、一度は衰えた筋力をトレーニングし、回復を目指します。治療から一貫した流れで、患者様に合わせたより効果の高いプログラムをご提案します。
表参道総合医療で取り扱っている再生医療
脳卒中
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳に栄養分がいきわたらなくなり脳の細胞が死んでしまう病気です。場合によっては回復しても後遺症として、麻痺などの運動能力の低下のほか、感覚異常や感覚鈍麻、うつ状態や意欲の減退などの精神症状、また失語や失認などの高次脳機能障害、認知症が起こることもあります。脳卒中の後遺症は、これまで主にリハビリで回復を図っていました。ただし、近年では再生医療の研究が進み、損傷した脳組織を再生させる「幹細胞治療」にも注目が集まっています。
脊髄損傷
脊髄損傷は、高所からの転落や交通事故、スポーツの外傷などが原因で脊髄が圧迫され、体の一部の機能が失われる状態を指します。近年、患者自身の細胞から培養した「幹細胞」という細胞を患部に注射し、死滅した組織の回復を図る再生医療が注目を集めています。この治療法は、これまで再生できないとされていた脊髄も再生することができるので、脊髄損傷を治せる可能性が出てきました。
椎間板再生医療(SAST/PDR)
脊椎幹細胞移植(SAST)は、椎間板や頚椎、腰椎に対して幹細胞を移植する新しい治療法です。幹細胞を用いた細胞治療では移植細胞の栄養作用による組織再生効果が報告されており、自分自身にある幹細胞を使って、組織や臓器を元通りの機能や形に戻す治療です。自己脂肪由来幹細胞が免疫抑制因子や抗炎症因子を分泌する機能を持つことを利用し、損傷した椎間板や脊椎の再生や修復を促し腰痛の改善を図る治療法です。
PDR法(経皮的椎間板再生治療)は、損傷した椎間板の再生治療です。患者様の血液より濃縮血小板由来の成長因子を抽出し濃縮血小板由来の成長因子と幹細胞上清液を穿刺針で椎間板に挿入し、透視装置を使って損傷した椎間板に成長因子と幹細胞上清液を投与します。様々な論文で再生治療としての注目があげられております。
ヘルニア、狭窄症
脊柱管狭窄症の再生医療は、従来の治療法では難しかった根本的な治療の可能性を秘めています。腰痛やしびれの原因である、傷ついた神経自体を再生することで、症状の改善を目指します。また手術と併用する事で相乗効果があげられる事がわかってきました。
慢性的な痛み(慢性疼痛)
慢性疼痛とは漢字の通り、慢性的に疼くような痛みが続く症状です。原因はがんや糖尿病、関節炎などの慢性疾患や、完治しない怪我が原因であることが多いです。感覚神経が過敏になって障害として起こる場合もあり、普通の痛み止め薬では改善の効果が得られません。慢性疼痛の再生医療では過敏になってしまった神経を元の状態に戻すことを目指します。
各治療の流れや費用については下記ページをご確認ください。また悩みからどのような治療を組み合わせたほうがいいのかもご提案しています。何か気になることがありましたらお気軽にお問い合わせください。
費用(税込) | |
---|---|
診察料 | 11,000円 |
血液検査 | 16,500円 |
自己脂肪由来間葉系幹細胞投与1回 1億個 | 1,650,000円 |
細胞保管費用(2年目以降) | 44,000円 |
脊椎・椎間板再生治療
当院では国内で唯一、脊椎・椎間板の障害や脊髄神経に対して椎間板再生因子注入療法(PRP-FD)と幹細胞培養上清液などを使い再生治療(修復治療)を組み合わせた治療法を提供しています。
PRP療法
患様者から採取した血液の血小板の濃度を高めて「PRP(多血小板血漿)」をつくり、これを患者様自身の身体の傷んでいる部位に注入することで、その修復を促します。歯科や形成外科、整形外科など、幅広い領域で行われている治療です。
幹細胞治療の流れ
幹細胞治療を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。
①専門医によるカウンセリング
最適な治療法をご提案。事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。
>
②検査
感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。
③脂肪採取
腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院などは不要な場合がほとんどです。
④幹細胞の培養
脂肪細胞から幹細胞を分離、培養します。培養には約6週間を要します。
⑤幹細胞を投与(点滴投与、髄腔内投与、局所投与)
培養した幹細胞を患者様の症状にあわせて点滴投与、髄腔内投与、局所投与します。
⑥経過観察
その後の効果について定期的に経過観察を行います。